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救え!邪神ちゃんドロップキック 【すくえ じゃしんちゃんどろっぷきっく】 ジャンル パズル 対応機種 Nintendo Switch 発売元 株式会社東京通信 開発元 MASK合同会社 発売日 2024年1月18日 定価 980円 プレイ人数 1人 レーティング IARC 7+(7才以上対象) 備考 ダウンロード専売 判定 バカゲー ポイント (ギリ)クソゲー寸前のバカゲー意図的なクソ要素以外の作り込みは◎ 概要 特徴・システム 遊び方について コインと着換えについて 問題点 評価点 賛否両論点 総評 余談 概要 COMICメテオにて連載中のWeb漫画「邪神ちゃんドロップキック」のアニメ版をベースとした、スマートフォン向け基本無料ゲームの買い切り移植版。原作は「中二病女子大生によって地球に召喚された邪神ちゃんが元の世界に戻るために彼女を殺そうとするも、そのたびに返り討ちにあう」という日常コメディ。 そして何より最大の特徴は、 アニメの切り抜き違法アップロードに対して、公式自ら切り抜き動画を放映前にアップする アニメアワード2023の投票方法の解説やランキングの中間報告などを通して露骨な投票呼びかけをX(旧Twitter)上で行い、ランク圏外から単独1位へ躍り出る 公式グッズの転売に対し、公式自ら転売以下の価格で同グッズをオークションサイトに出品する ……など、アニメ公式による行動が原作に劣らぬカオスぶりを発揮してしばしば話題になる点だろう。そんな中で突如世に放たれたのが、どこかのWeb広告で見たようなチープな外見のこのゲーム。何を隠そう東京通信の子会社が発売した「線を引くクソゲー」こと有名バカゲー「Save them all」(*1)のグラフィックを邪神ちゃんに差し替えたものである。当然というべきか、 色んな意味でマトモなゲームではない。 特徴・システム 【ゲームの進め方】 1) ステージをしっかり見て「邪神ちゃん」に迫っている危険を確認しましょう 2) 危険から「邪神ちゃん」を守るように一筆書きで線を描きましょう 3) 「邪神ちゃん」を守れたらステージクリア、次のステージに進めます 4) 失敗しても成功するまで何度も同じステージにチャレンジできます (以上、公式より抜粋) 以上の基本ルールを踏まえて、以下にいくつか補足する。 遊び方について 線引きは画面のタッチ操作、またはZRを押しながら左スティックで行うことができる。 描かれた線はその位置に固定されるのではなく、書き終わると重力に従って落下する。 ステージ開始時点で空中に配置されている邪神ちゃんも線引きが終わると同時に落下する。 線引きの始点が壁の中など線を引けない箇所だった場合、そこからどうなぞっても線は引けない。にもかかわらず、操作を終えると線引きが完了した扱いとなりギミックが作動する。 このため、床や壁に密着した線を引きたい場合は、一度空中に筆を下ろしてから壁に向かって引くと良い。例えば床面と平行な足場を作りたい場合、長方形を描くよりも、水平な線の下に垂直な脚を数本引いてテーブルのような形状にした方が安定した足場を作りやすい。線を壁と密着させて左右に動かないように固定したい場合も同様。 上記の通り線引きは一筆書きであり、長さに上限はないが書き終えるとギミックが作動する。しかし「線は1本しか引けない」とはどこにも書いておらず、線引き完了後、ギミック動作中に線を追加することができる。 追加の線は書いている途中には判定がなく、書き終えて筆を離さないと壁や床として機能しない。 自分が引いた線も、邪神ちゃんに当たるとミスになる。 例外として邪神ちゃんの足元だけは線に触れても大丈夫なようになっており、足場を作ることは可能。ただし線が傾いていると邪神ちゃんが倒れてしまいミスとなる。 3回ミスするとステージスキップが可能。 コインと着換えについて ステージクリアのたびに50コインが手に入る。 1回500コインを支払い、ランダムで1つ邪神ちゃんの着せ替えを入手できる。正義と書かれたTシャツやスノーボード、全身金メッキなどシュールなものもあるが、大抵原作等の再現。 コスチューム入手の際、入手済みのものは選ばれない。コンプリートするまでは必ず新規コスチュームが手に入る。 問題点 元がスマートフォン向けアプリであることを差し引いても、背景やオブジェクトが凄まじいローポリ・低画質である。ステージによってはコウモリやワニといった動物が現れるが、初代プレステレベルのクオリティ。 引いた線の判定が安定せず、キャラクターや敵の攻撃が容易に壁を貫通する。特に銃と手裏剣は貫通が半ば常態化しており、壁を幾重にも張る必要がある。 地形や敵と複雑に干渉するような線を描くと凄まじい処理落ちが発生する。酷い場合はコマ送りなどというレベルではなく、秒間1~2フレーム以下まで落ち込むことがザラにある。 地形判定の不安定さと激しい処理落ちの合わせ技により、引いた線が壁を無視して吹っ飛んだり、敵が本来とるべき挙動を取れず、邪神ちゃんを無視して虚空や画面奥へ走り去っていったりすることがある。 BGMは1曲のみ(*2)。ゲームを起動したら最後、ステージをクリアしようがミスしようが、同じBGMがゲームを終了するまで永久に流れ続ける。 声優によるボイスは一切無い。クリア時にフリー素材感あふれる拍手喝采のSEが鳴るのと、邪神ちゃんがやられると「ア"ッ」「ヴー」という声なのか音なのかよくわからないSEが鳴るのみ。 線を引かずに放置していると、敵キャラが徐々に回転していったり、体がだんだんねじれていったりする。 コインで入手するコスチュームをコンプリートしたあと、コスチューム入手ボタンがグレーになって押せなくなるとか「全てのコスチュームを入手済みです」といった表示が出ることもなく、普通にコスチューム入手の操作ができてしまう。もちろんコスチュームは手に入らないが、コインはしっかり消費される。コスチューム入手以外に使い道はないので実害はないが… 基本的には敵やステージギミックに動きがなくなった時点で邪神ちゃんが生きていればクリア判定になるが、ステージによっては邪神ちゃんが生きていてもギミックを完全に停止させるような線引きをしないといつまでたってもクリア扱いにならない。 特にステージ23は多くのユーザーがこの挙動で苦戦させられている。左から走ってくる車を止めるだけなのだが、明らかに止まっているように見えてもいつまでたってもクリアできないことが多い。 ステージスキップをしてもクリア時と全く同じ演出が流れ、50コインも獲得できる。 …以上のように普通のゲームとして見ればクソゲー判定待ったなしのクオリティなのだが、公式が公式なので、どこまでが意図した内容なのか理解に苦しむ部分がある。 一例として、原作には影も形もないサングラス姿の暗殺者や目玉が飛び出た忍者が登場し、例によって1990年代のCGレベル(*3)のクオリティなのだが、これは実在するWeb広告の再現となっている。 「公式のゲームとは思えない」というツイートに対して「そこが、いいんじゃないですか!」と公式がリプライしたり、公式が「本作は日本語に対応していません」と言いながらゲーム内に表示される英単語の和訳をSNSに投稿しているが、ハッシュタグに「クソゲー」が付いているなど、低クオリティは半ば意図したものだと思われる(だからと言ってプレーヤーが許容できるかは別の話ではある)。 その他、 スマートフォン向けゲームのほぼベタ移植のためか、携帯モード・テーブルモードでは縦画面固定になる。この2モードでコントローラ操作で遊ぶ場合、スタンドなどに立て掛けない限り、本体を床やテーブルに寝かせて置くしかなくなる。 なお、ドックを用いてTVモードにすると左右の空白に邪神ちゃんとゆりねが配置される形で横長の画面に対応したレイアウトになるので、なおさら携帯モード・テーブルモードでもこのレイアウトに対応して欲しかったと感じてしまう。 ステージセレクトがない。 といった問題点もある。 少なくともこちらはゲーム内容とは別の、正しく(?)問題点と言える部分。 評価点 (激重処理落ちが発生しなければ)1ゲームは10秒前後で終わるのでサクサク遊べるため、妙な中毒性がある。 ステージ総数が凄まじく多く、1ゲームが短いわりにAllクリアにかかるプレイ時間はけっこう長く、暇潰しとしてはコスパが良い。 邪神ちゃんを始め、花園ゆりね、メデューサ、ミノス、ぺこらといった原作キャラクターが登場し、これらのキャラクターは背景やオブジェクトの低コスト感に反してちゃんとかわいらしく作られている。ミノスの「ビーフ100%」シャツなど細かい原作再現もされている。 かなり進めないとみられないが、様々な恰好の邪神ちゃんが向き合っている、通称「邪神ちゃん脳内会議」を再現したステージも。 邪神ちゃんはクリアした時やミスした時にちゃんと表情が変わる。…評価点? クリア時に両腕を伸ばしたままV字に上げて左右を指さす謎のポーズを取るが、これが妙に癖になる(公式に「クソポーズ」と命名されている)。 なお、メデューサ以外のキャラクターは全て邪神ちゃんを殺しにくる。しかもステージによっては平然と分身や巨大化して襲って来る。 メデューサは居るだけ参戦で、ステージに配置されていても何もしない。 雲から大量のトゲ鉄球が降ってくる、噴水から噴き出た水滴が1粒でも触れると死ぬ、狼やワニに始まり馬やカニ、果てはカンガルーやコアラなどあらゆる生物が邪神ちゃんに襲い掛かる、ステージ開始時点で邪神ちゃんが落とし穴の上に浮遊している、壁を作って襲い掛かる敵を防いだと思ったら時間差で上から爆弾が降ってくるなど、不条理極まりないシチュエーションの数々は非常にシュールで笑える。 上記の通り敵の種類は豊富で、ギミックも様々に用意されている。序盤は邪神ちゃんを囲んだり屋根を作るだけで解決するステージもけっこう多いが、ステージを進めていくとなんだかんだ頭を使うステージも出てくるようになる。爆弾や鉄球を敵に当てて倒すことも可能。 マップ(背景など)も豊富であり、ある程度ステージを進めていくと切り替わる。なんとステージ500を超えてから初登場する敵などもおり、外見自体はチープなくせに使いまわしは少なく、見た目やシステム面以外の部分ではクソゲーにならないように力を入れたであろう印象は伝わってくる。背景や敵、ギミック等の変化に富むため、単調なゲーム内容に反して意外とマンネリ感を覚えにくく、気が付くと数百ステージ遊んでいたりもする。 賛否両論点 問題点に「複雑な線を引くとバグや処理落ちが発生する」「ある程度線を重ねないと敵や攻撃が貫通してくる」という2つの相反する問題点を記載したが、これによりある種のゲーム性が発生している。 つまりは、引いた線が少ないと「処理落ちを回避できる」というリターンの代わりに「敵を防げない可能性がある」というリスクが生まれ、線が多くなると「敵の攻撃を防げる」というリターンの代わりに「処理落ちする可能性がある」というリスクが生じる。これらを踏まえて「敵やギミックを防げる程度に線を引きつつも処理落ちやバグが発生しないよう最低限の線引きに抑える」という遊びを楽しめるかどうかは本作の評価にかなり影響すると思われる。 総評 チープな見た目や頻発する処理落ちなどからくる「クソゲー」という第一印象に反して、非常に膨大なステージ数と、それに対してマンネリを感じさせないよう配慮された背景・敵・ギミックの数々、そして何よりかわいらしい邪神ちゃんなどの原作キャラクターの作り込みにより、徐々に「ただのクソゲーではないんじゃないか」という感想を抱かせてくる。 そう思わせる理由の1つに、公式SNSの言動や購入前から一目で伝わるチープさなどからくる「このゲームがまともであるはずがない」という前提・先入観があるのは間違いない。 狙ったバカゲーはそれなりにあるが狙ったクソゲーというのは前例が多くなく評価が難しいが、少なくとも遊べないゲームではないため、「原作再現度が高いクソゲーを模したバカゲー」と評するのが妥当な作品。 余談 公式略称は「救邪」らしく、X(旧Twitter)にて同ハッシュタグを調べるとプレイ動画が色々と見つかる。 + ステージ総数とALLクリアについて(一応ネタバレ回避のため格納) ステージ総数は650ステージ。 650ステージをクリアすると普通に651ステージが始まるが、以後は既出のステージがランダムで出現する。 当然エンディングの類は無い。 本作が発売される前に基本無料アプリとして配信されているのは冒頭で説明した通りだが、アプリ版の攻略サイトによるとアプリ版とはステージ数が異なっている(*4)。Switch版の発売に際してステージの追加や調整等が行われている模様。 ALLクリア後の仕様もSwitch版と異なり、アプリ版ではステージ1からループするようになっている。
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わたしのリラックマ 【わたしのりらっくま】 ジャンル さわってお世話ゲーム 対応機種 ニンテンドーDS 発売元 ロケットカンパニー 発売日 2007年9月13日 定価 4,800円(税別) プレイ人数 1~2人 セーブデータ 1箇所・任意セーブ方式 判定 クソゲー ポイント リラックマとのコミュニケーションゲーム眠気を誘う「もっさり」テンポキャラゲーとしてもかなり微妙 サンエックスキャラクターシリーズ 概要 ゲームルール 問題点 評価点 総評 その後の展開 概要 サンエックスが誇る超人気キャラクター『リラックマ』を題材としたニンテンドーDSソフト。DS初のリラックマゲームでもある。 原則としては「リラックマとコミュニケーションをとる」事に特化した内容。なお、キイロイドリやコリラックマは登場するものの、攻略対象には含まれていない。 ゲームルール ゲーム中は常時、現在の時間が表示される。 ゲームの流れ 部屋(画面)内でくつろいでいるリラックマと触れ合い、色々なコミュニケーションをとっていくのが基本的な流れとなる。 リラックマをタッチ(スライド)する・もしくはDSマイクで声を発すると、リラックマが様々なリアクションをしてくれる。 リラックマに対して何かのリアクションをさせると、「ポイント」というお金的な報酬が獲得できる。ポイントは買い物(下記)をする上で必要となる。 ある程度ゲームを進め、とあるイベントを発生させるとエンディングとなるが、その後もゲームは続行される。 買い物・レイアウトについて 溜めたポイントを使用して、様々な「アイテム」を購入できる。 販売されているアイテムは「食べ物」「雑貨」「家電用品」「部屋の装飾品」「タンス類」「机・椅子類」「ベッド・ソファー類」「植木鉢」の8タイプ。 アイテム総数は200種類超。DS本体の時間設定により、販売品の品揃えが変わる。アイテムの重複ストックは可能で、それらを捨てる事ができる(例外あり)。 購入のできない非売品扱いだが、「特殊」というタイプのアイテムもある。これに関しては下記にて。 入手したアイテムは部屋内へと配置(レイアウト)でき、さらには一部アイテムを置くとリラックマ自身がリアクションをとってくれる。 アイテムの配置数には制限があり、限界を超えると配置が行えなくなる。この場合は、配置済みのアイテムを撤去するしかない。 配置したアイテムの片付けももちろん可能。食べ物アイテムは消耗品扱いとなっており、リアクションさせると消えてしまう。 特殊アイテムについて 特殊アイテムとして、「オリジナル」「ファション」「ミニゲーム」という分類のものがある。 オリジナル系のアイテムを作成して、従来アイテムと同じ感覚でリラックマのリアクションが鑑賞できる。 「パレットを用いて絵を描き、それがどういうアイテムなのかという質問に答える」とオリジナル系の作成完了。 ファッション系のアイテムを部屋に置くと、リラックマがそれを着てくれる(何故か脱ぐ場合もあり)。 ファッション系は色と柄の設定ができ、自分好みのデザインが行える。ファッションの組み合わせによっては、別々のものを同時に着てくれる場合もある。 ミニゲーム系はその名の通り、ミニゲームが楽しめるアイテムとなる。 ミニゲームは「リラーシ(リバーシ)」「くるリラパズル(絵合わせパズル)」「リラがめ(鮫亀)」の3種類。一部ゲームは難易度や絵柄の選択もできる。 アイコンについて 本作では以下のアイコンが用意されている。 「通信」:ワイヤレス通信機能を用いて、相手側のDS本体に手紙を送る。 「シール」:とあるイベントを発生させると貰えるシールを鑑賞できる。全8種類。 「オリジナル」:オリジナル系のアイテム作成・及び部屋への配置が行える。1つ作成すると、以前作成したアイテムが消滅してしまう。 「ファッション」:ファッション系のデザイン・及び部屋への配置が行える。 「ショップ」:アイテムの購入が行える。 「ボックス」:今所持しているアイテムの一覧鑑賞や、部屋へのアイテム配置が行える。 問題点 尋常ではない"もっさり"感 ゲームテンポが全体的に遅く、何をやるにも時間がかかるストレス仕様。 リラックマが何かの行動を起こす度に、10秒近くの時間がかかるのは当たり前。おまけに、行動中はコミュニケーションの操作が全く効かない。 「リラックマが寝返りをうつ ⇒ 10秒待ち」「ゴミを捨てる ⇒ 10秒待ち」という行動の連続がデフォルト状態。この間のスキップや早送りは一切不可。 さらには、同じ行動が連続で繰り返され、より無駄な時間を消耗されていく。そのうちプレイヤーは「もういいから速く動け」というストレスを感じるだろう。 コミュニケーションがあまりにも単調 コミュニケーションゲームな割に、リラックマと触れ合う手段が少なすぎる。 タッチ(スライド)かマイク発声をする位しかやる事がない上に、ワンターンなリアクションばかりでちょっとプレイするだけでも飽きる。 おまけに上記のもっさり感が常時付きまとう為、「ワンパターンなリアクションだけの為にひたすら待つ」という、眠くなる作業を強いられる事となる。 気まぐれすぎるリラックマの行動 確かに原作におけるリラックマは気まぐれな性格ではあるが、本作においては気まぐれの度合いが激しすぎる。 かなり謎なのが「せっかく用意したファッションを即効で脱ぐ」という行動。こちら側としては服やズボンなどを着たリラックマを見たいのに、それを全否定する意味が分からない。 ちゃんとファッションを着てくれたとしても、アイテムの配置を行う度に何故か脱ぐ。そんなに衣服をまとうのが嫌なのだろうか…? 難儀な買い物・自由度の低いレイアウト 上記のもっさり感の影響でなかなかポイントが溜まらず、そのせいで買い物するにも時間がかかる。 さらには販売されているアイテムの品揃えに制限がある故に、ポイントを稼いでもお目当てのアイテムがすぐには手に入らない可能性がある。 まとまったアイテムを入手しても、部屋に飾れる範囲が狭すぎてレイアウトする楽しみが薄い。 ちょっとアイテム配置するだけでもすぐに底が尽きるので、結局は似た様な形のレイアウトになりがち。それに加えて、リラックマが勝手に服を脱いでくれるおまけ付き。 リラックマしか触れられない 概要でも述べた通り、キイロイトリやコリラックマに触れる事ができない。 彼らは一部のイベント限定でしか登場せず、ただの脇役扱いでしかないのが寂しい。他のリラックマゲームでは3キャラが同格で登場するものがほとんどなのだが…。 評価点 リラックマの可愛らしさは再現されている方 DSによるポリゴン描写故にあまり見栄えはよくないが、原作特有の可愛らしさはそれなりに表現されている。 リラックマ特有のセリフ回しもちゃんと再現されている。DSの時間設定により、専用のイベントが発生する仕掛けも凝っている。 総評 "まったり"ならぬ「もっさりコミュニケーションゲーム」というべき作品。 相当なリラックマに対する愛を持たない限り、早期にプレイが苦痛になってくるのは必至だと思われる。 その後の展開 本作以後もロケットカンパニーからリラックマゲームがリリースされていくが、そのどれもが本作よりはまともな出来となっている。当然といえば当然だが…。
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トゥームレイダース 【とぅーむれいだーす】 ジャンル アクションアドベンチャー 対応機種 プレイステーションセガサターンIBM-PCWindowsMacintosh 発売元 Eidos Interactive【PS/SS】ビクター インタラクティブ ソフトウェア 開発元 Core Design 発売日 【SS】1997年1月24日【PS】1997年2月14日【PC】1997年3月7日【PC】1998年12月31日(拡張パック) 定価 5,800円 廉価版 【SS】サタコレシリーズ 1998年2月11日/2,800円 配信 【PC】Steam 2012年12月28日/698円 判定 良作 トゥームレイダーシリーズ 概要 ストーリー 特徴 評価点 問題点 総評 余談 概要 女トレジャーハンター、ララ・クロフト(1作目と2作目では レイラ ・クロフト)が財宝を求めて世界各地の遺跡で冒険を繰り広げる3Dアクションアドベンチャーゲーム。 タイトルの『トゥームレイダー』は「墓荒らし」の意であり、海外ではシリーズ累計売上3000万を突破する大ヒットタイトルである。 主人公ララ・クロフトの人気も非常に高く、2006年には「最も成功したゲームヒロイン」としてギネスに認定されている。 ストーリー 冒険家レイラ・クロフトは世界中の遺産や骨董品を収集するコレクターであり、様々な国の文化遺産を発掘し、その報酬で生活をするという気楽な毎日を過ごしていた。 カナダの山中で雪男を発見したことで一躍有名になったレイラであったが、そんな彼女のもとへ新たな冒険の話が持ち込まれる。 それは、ナトラ・テクノロジーの社長、ジャクリーヌ・ナトラから、インカに眠る秘法探索の依頼であった。 金を積まれても気が進まないレイラであったが、インカの新たな遺跡に興味を惹かれ、雪深い南米の山中に向かうのであった…。(説明書より抜粋) 特徴 基本的なゲームシステムは後方視点のTPSである。遺跡を探索して次に進むための鍵や通路を見つけ、より奥へと進んでいく。 ステージクリア型を採用しており、クリアすると所要時間や殺した敵の数、シークレット(後述)発見数といった記録を見ることができる。 アクションはジャンプ、助走をつけての大ジャンプ、ゆっくり歩く、足場の縁や物を掴む、水中を泳ぐといった具合。 武器はピストル(初期装備・弾数無限)、ショットガン(至近距離での威力大)、マグナム(1発あたりのダメージがピストルの2倍)、ウージー(時間あたりの発射数がピストルの3倍)の4種類が登場する。 ピストル以外の弾は有限で、ステージ内にある弾薬パックを拾い補充する。いずれもピストルより高火力なので使い分けが重要。 敵が射程内に入ると自動で狙いをつけてくれる上に、走ったりジャンプ中でも撃てるなど戦闘時の見栄えも良い。 セーブは特定の場所にある青のクリスタルの前で行う。一回使うと消える。 ララの体力ゲージが無くなるとゲームオーバーになり、最後にセーブしたところからやり直しになる。 体力はメディパック小(体力半分回復)とメディパック大(体力全回復)で回復できる。 評価点 多様なステージ構成 ステージクリア型のアクションアドベンチャーゲームであるが、各ステージに個性があり、プレイヤーを飽きさせない。 舞台には生い茂る草木などで装飾されたインカの滅んだ町や、通路や柱が崩落したギリシャの教会などがあり、遺跡が醸し出す退廃的な雰囲気が味わえる。 ステージ開始直後からいろんな場所に行くことが出来、ちょっとした箱庭風のステージの中で、高所へ飛び縁に掴まりながら移動したり、水中に潜って泳いだりと様々なアクションを行いながら進むので没入感は抜群。本当に冒険している気分になれる。 グラフィック 当時のゲームとしてはかなり良い部類に入る。 特に遠景の表現にすぐれており、高所から見下ろした時の底深さや、遥か先の背景の描画は見事。 本作は「あの足場へは飛び移れそうか」「飛び降りても死なない高さか」「遠くから敵が迫って来ていないか」といった慎重な観察が必須である。当時の開発者インタビューによれば、それを逆手に取って「近景は目が行かないので少々テクスチャが粗くても構わないから、遠景の描画にメモリのリソースを割く」という割り切った手法を取ったとのこと。 プレイヤーを陥れる謎やトラップ ララが冒険する遺跡には凶暴な動物の他に、先人が仕掛けた罠や謎が襲い掛かってくる。 トラップの種類は映画『インディ・ジョーンズ』のように突然大岩が転がってくるのを始め、落下して着地すると即死のトゲ付床、ララが乗ると崩れる床と多種多様。さらには北欧神話に登場する神トール、ギリシャ神話に登場する神アトラスといった神話をモチーフにした仕掛けまであり、ステージの雰囲気作りに一役買っている。 謎解きも凝っており、レバーで水位を変えながらルートを探していくステージなどがあり、ララの冒険が一筋縄ではいかない事を実感させてくれる。 序盤の敵は大して強くないが、中盤以降は遠距離攻撃を仕掛けてくる古代生物といった敵などが増え、かなり強くなっていく。 序盤でも巨大なティラノサウルスといった迫力ある敵や、行く先々で神出鬼没に現れてはララと同じく銃撃してくるピエールなど印象に残りやすいものが多い。 一度倒しても鍵を取った途端に背後から新たな敵が襲い掛かってくるということがよくあるので気が抜けない。 シークレット やりこみ要素として、各ステージに幾つかシークレットと呼ばれる隠しポイントが存在する。 近づくと音楽が鳴り、アイテムが落ちている。中には強力な武器まで落ちている。 ほとんどがプレイヤーの盲点を突く所に隠されており、自力で見つけるのは至難の業。 ステージクリア後にいくつ発見したか表示されるので、全部見つけるのも楽しいかもしれない。 音楽 基本的にBGMは無いか、静かな環境音のようなものが多いが、敵が大量に出てくるときに突然鬼気迫る音楽が流れるなど、場面を盛り上げてくれる。 音楽で重要な箇所が分かることもあり、ちょっとしたヒントにもなっている。 問題点 難易度が高い セーブがステージ中に設置してある「クリスタル」を取得するのみと少なく、一撃死のトラップが多い所謂死にゲー。 PC版はどこでもセーブが可能なため、難易度は若干下がっている。 戦闘面に関してはかなり大味。大半の敵は予備動作などもなく常に攻撃判定を発生させたまま体当たりを繰り返してくるものが多い。さらに被ダメージ後のララは一瞬硬直し、無敵時間などもないため半ばハメ殺されることも。 特にエジプトから頻繁に登場する古代生物はララ以上に素早い動きで突っ込んでくるために攻撃を回避するのはもちろん、逃げるのも困難でありダメージ前提で回復アイテムやショットガンなどでゴリ押ししないと突破できない。 探索面ではヒントは基本的にないので、広いステージを行ったり来たり、試行錯誤しながら進めていくことになる。 特にとあるステージではギリシャ神話のあるエピソードを知らないと解けない謎解きが出てくる。ゲーム中でヒントがあるのだが、即死トラップである上に偶然でないと発動できない、そもそもそれがヒントであるということにも気付かない可能性がある。 この試行錯誤の過程が本作の醍醐味かもしれないが……。 操作性 入力方向への移動ではなく前後移動+左右旋回のラジコン操作を採用しているため、とっさの方向転換が難しい。またカメラワークを自由に変えることもできず、カメラ自体もキャラクターにかなり近いので視認性が悪い。 ツインスティックによる移動・視点操作が前提の現在のTPS作品と比較するともどかしさを感じがちな部分。しかし、TPSのボタン配置が洗練される前の作品であるため仕方ないところではある。 走りジャンプの距離感がつかみにくい。「バックステップ(移動キー下)1回分=走りジャンプができる最低助走距離」なのだが、それは作中で解説されないため慣れないうちは落ちて死にまくる。 PS版のキー配置は海外版準拠なので、初期設定が×で物を拾い、□でジャンプとなっている。このため、日本のゲームに慣れている人には誤操作が多い。 タイトル画面から選択できるチュートリアルステージ「ララの家」で各種アクションの練習が可能なので、しっかり練習しておくと良い。 PC版における問題点 PS版にあった要所でのBGMが全てカットされている。 ムービーシーンはPS版よりロークオリティで非常に粗い。 一応どちらも非公式パッチで改善することはできる。 総評 当時の3DCG水準を鑑みてもいわゆる洋ゲー的な「濃い顔」でデザインされたキャラクターや、高めの難易度の為か日本での知名度はあまり高くないものの、決して理不尽ではなくトライ&エラーを繰り返していくことでレイラ(ララ)をうまく動かせれば映えるアクションを取れるようになるなど上達が実感できるようにしっかりと作られ完成度が高くやりごたえがある。 また没入感も高く、高低差や場面の明暗などアクション中心ではあるもののどんどん目標へ向かっている探検している感じ、高所からの飛び移りが大丈夫かとなるような緊張感のある構成、そしてシークレット探しといったサブコンテンツも冒険に花を添える要素となっている。 腕に自信のあるゲーマーにはぜひお勧めしたい作品である。 余談 当時では珍しい女性主人公の三人称視点の3Dアクションアドベンチャーゲームだったこともあり、全世界で500万~700万本を売り上げ、2001年にはアンジェリーナ・ジョリー主演の映画まで作られた。 言わずと知れた、彼女がハリウッドのトップスターとして不動の地位を築いた作品である。彼女の風貌、そして作品内でのタフネスさや強心臓ぶりを見て、先にゲームをプレイした事のある人々は「どこからこんなハマリ役を連れてきたんだ」と皆驚いたのである(*1)。 原題は『TOMB RAIDER(トゥームレイダー)』であり、『トゥームレイダー ス 』なのはPS/SSの日本版のみである(*2)(*3)。 PC版では追加ステージパックの「アンフィニッシュド・ビジネス」も発売された。(海外版タイトル:『Tomb Raider Gold』) 海外限定発売だが好評だったらしく、2及び3でも同様の追加ステージパックが発売される事になった。 2013年にiOS、2015年にはAndoroidバージョンもリリースされている。 2007年にはシリーズ10周年を記念し、最新のシステムでフルリメイクされた『トゥームレイダー アニバーサリー』が発売されている。 2024年2月14日に本作と『2』『3』を収録したHDリマスター版となる『Tomb Raider I-III Remastered Starring Lara Croft』がAspyrから発売された。グラフィックをオリジナルとHD版から常時切り替え可能で、操作系もオリジナル版とアレンジ操作を選択可能。別売りされた各作品の追加シナリオも全て収録。 開発はパブリッシャーのAspyrと現在のシリーズデベロッパーであるCrystal Dynamicsとの共同体制で行われている。
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ジェットインパルス 【じぇっといんぱるす】 ジャンル フライトシューティング 対応機種 ニンテンドーDS 発売元 任天堂 開発元 元気ジェットグラフィックス 発売日 2007年2月8日 定価 4,800円(税込) 判定 良作 ジェットインパルス 概要 ストーリー 特徴・評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 ニンテンドーDSで発売されたフライトシューティングゲーム。開発当初のタイトルは『DS Air』。 プレイヤーは「アキツ州空軍」のパイロットとなり、世界を二分した紛争、そしてその裏に潜む陰謀に立ち向かう。 ストーリー 人類は、地球を巻き込む大きな戦いを三度経験した。すべての国々が国際連邦「ユニオン」を結成し、永遠の平和を誓うも、それは長くは続かなかった。老大国「マルドーク首長国連邦」と周辺諸国との資源をめぐる紛争が、世界を二分する大戦へと拡大した。前大戦でアキツを併合した「アヴァロン連邦共和国」を中心とする「ユニオン」と、「ミッドガルト共和国」を中心にアヴァロンに反発する国家が結成した汎大陸同盟「アリーズ」に分かれ、マルドークは10年もの内戦状態に陥る。内戦の間、科学技術と兵器は大幅に発展し、空では超音速で飛び交う怪物たちの極限の戦いが繰り広げられていた。それを生き延びた者たちは、「スーパーエース」と畏敬の念を込めて呼ばれていた… 特徴・評価点 2画面・タッチパネルを適度に利用した、ユニークな操作性 ゲームの下画面は「レーダー」「兵装の残弾数」「自機および敵機のHP」「敵の残り数」が表示されており、下画面タッチで「レーダーからのロックオンターゲット切り替え(こちらはボタンでも可能)」「レーダーの拡大・縮小」「主兵装と特殊兵装の切り替え」などが可能になっている。 他ゲームに例えれば、『スターフォックス コマンド』のレーダー画面と『超操縦メカ MG』の下画面ギミックが組み合わさったようなもの。 『スターフォックス コマンド』を例に出したが、同作品と違い、本作の自機操作は十字ボタンとボタンを使用する。 特にロックオンターゲットがレーダーからタッチひとつで切り替えられる部分は、『エースコンバット』など他のフライトシューティングゲームで見受けられた「なかなか意中のターゲットをロックオンできない」部分をうまく解決に導いている。 ミスをすると、下画面が大破するとともに、真っ赤に染まると言う生々しい部分も。 多彩なミッション ミッションの舞台となるステージは19。敵勢力の排除、施設へのテロ攻撃の阻止、敵エース部隊との戦いはもちろん、巨大ボスとの戦いも用意されている。 巨大ボスは強大かつ多彩な攻撃でプレイヤーを苦しめ、ハードロック調のボス戦BGMと合わさって存在感が強いものになっている。 フルボイスで展開されるストーリー 本作は主要キャラクターから脇役・チョイ役に至るまで、すべてがフルボイスで展開される。 声優事務所「マウスプロモーション」の協力により、出演声優も新人から大御所まで勢ぞろい。 特に、プレイヤーのパートナーとなるキャラクター「ジャスミン」は、『攻殻機動隊』の草薙素子役や、洋画吹き替えでクールビューティを演ずることの多い田中敦子氏が演じており、人気が高い。 ストーリーのシナリオも、「世界大戦」という非常に重いテーマでありながら、リアルロボットアニメ(特にガンダム)のパロディが差し挟まれていたりする。 + 主なガンダムパロ(ストーリーの核心に関するネタバレも含まれています。注意!) 黒と紫のカラーリング機体でプレイヤーに立ちはだかる、アリーズ陣営に属する3機のエース部隊「オリオンスターズ」。どう見てもファーストガンダムの黒い三連星です。本当に(ry ちなみにステージによって搭乗している機体が違っている。MSVで登場した「黒い三連星仕様ザク」のことを知っていてのことであれば、パロディとしては秀逸と言わざるを得ない。 これまたプレイヤーに立ちはだかる、真っ赤に染めた機体のエース「クリムゾン」。どう見ても赤い彗星です。本当に(ry この機体に搭乗しているパイロットは、実は先述の「ジャスミン」と因縁があるらしいのだが…。 ただ、思想面における「赤い彗星」はむしろ本作のラスボスキャラに近い。彼は「恐怖による真の世界平和」を目指し、地球上の原子力関連施設を破壊しようと企む。これは「スペースノイドによる真の平和」のもとに、地球上に小惑星を落としたり、挙句はアクシズを落とそうと企んだ『逆襲のシャア』のそれに良く似ている。そのバックグラウンドは、本作に登場するアニメーションムービーを一通り見るとわかるかもしれない。 Wi-Fiコネクションを利用した対戦モードやオリジナル機体の配信 対戦モードはワイヤレス通信では最大4人、Wi-Fi通信では最大2人でプレイ可能。 対戦とは別に、Wi-Fiを通じたオリジナル機体の配信(いわゆるDLC)も行なわれている。 いずれも「ネタに走った機体」であり、例を挙げると「機首が髑髏になっている機体」「UFO」など。 賛否両論点 登場する戦闘機はすべて架空。 「本作の舞台となる世界で開発された機体」ということになっているのがその理由。 また、実在機によっては許可取りが必要な為面倒事を避けたかったのかもしれない。 ただし実在機をモデルにしてはいるらしく、『エースコンバット3 エレクトロスフィア』の様な現実離れした物にはなっていない(上記ネタ機体を除いて)。 問題点 ストーリーが超展開過ぎる。 それも「普通に進行していたストーリーが予想外過ぎる方向へ展開する」という意味での超展開ではなく、「粗が多すぎて理解しがたい」という意味での超展開で、唐突に今まで聞いた事のない組織などが登場したり、逆に意味もなく死亡したり、それっきりで出番がないキャラクターが多数発生する。 バックグラウンドが掘り下げられていないキャラクターも多数。 国家ベースで見れば、「ウェスト・コミューン」は一切登場しない(舞台になることがない)。 一部ステージでは出撃機体を縛られる ステージの一部に、特定の機体で強制的に出撃させられるものが存在。 一部機体は高難度モードでは弾数が貧弱になり、ステージ攻略に堪えられない。つまりバランス調整の問題もある。 処理落ち、グラフィックの粗さの問題。 戦闘機や戦車がひしめき合ったり、巨大ボスとの戦いで処理落ちが頻繁に起こる。 またグラフィックに粗が見られ、戦車や戦闘ヘリなどはよほど接近しないとただの塊にしか見えない。 特にHUD(ヘッドアップディスプレイ)視点にすると、角度表記などがかえって画面を見づらくし、機銃を発射するとそのエフェクトでさらに見づらくなる。 『エースコンバット』シリーズをパクったかのようなシステム・ミッション・展開。 基本的なシステムや画面表示、ボタン配置、特殊兵装の種類や敵の種類までも酷似している。 他にも超兵器や敵エースの存在、全く戦闘出来ない機体に乗って味方から逃げる、山中でのヒロインの捜索、低高度をくぐり抜けてダムへ到達するなど非常に多い。 ストーリー面でも特にPS2三部作と酷似した展開が多い。 総評 処理落ちやグラフィックの粗さ、ストーリーなどで不満点が残るものの、DSの2画面タッチパネルをうまく、かつ適度に生かした機能により、『エースコンバット』他のフライトシューティングゲームとの差別化に成功した、まさに「隠れた良作ソフト」といえる。 余談 本作の攻略Wikiによると、メインシナリオライターは『女神転生シリーズ』などのシナリオを手がけた鈴木一也氏とのこと。同氏は後にDSソフト『ツキビト』(発売 SNKプレイモア)の制作に携わったあと、2012年から東京テクノロジーデザイン専門学校のゲームプランナー講座の講師を務めている。 任天堂ホームページにかつて存在した「Touch-DS.jp」で手元付きのプレイ動画が公開されたが、「下画面を指で直接タッチ」を任天堂スタッフが半公認したに等しいものであった。確かに本作のボタン主体の操作性ではいちいちタッチペンを取り出す暇はないが…。 爪などにより画面が傷つきやすいので、画面保護フィルムは必須である。 何の因果か、数年後3DSにて本家様が御降臨なさる事になる。 のちに任天堂のゲームキャラがペイントされたスペシャルコラボ機体を追加したグレードアップバージョンも発売された。本作とのコラボを期待するエースパイロットも居たが、結局実現はしなかった。
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Rabi-Ribi 【らびりび】 ジャンル 横スクロールアクションゲーム 対応機種 Windows(Steam)プレイステーション4Nintendo Switch 発売元 【Steam】CreSpirit【PS4/Switch】メディアスケープ 開発元 CreSpirit 発売日 【Steam】2016年1月29日【PS4】2018年6月21日【Switch】2019年10月17日 定価 【Steam】2,100円【PS4/Switch】2,700円 プレイ人数 1人 レーティング CERO B (12才以上対象) 判定 良作 ポイント 可愛いドット絵とポップな楽曲 メトロイドヴァニア形式の横スクロールアクションゲーム ポップなキャラがSTG顔負けの弾幕攻撃を展開 やり込み要素も豊富 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 台湾発の探索型横スクロールアクションゲーム。 ドットで表現される可愛いキャラや明るい背景などが初見時では目を引くが、ゲーム自体はアクション要素が強く非常に歯ごたえのある内容。 ゲームの特徴として、 ボスがSTGの様な弾幕攻撃を放ってくる 点にあり、一時期各所で話題になった。 Steam版とコンシューマ版で値段に違いがあるが、コンシューマ版はアートブックを除く全てのDLCシリーズが入った内容であり、同じくSteamで発売されているDLC全部入りの「UPRPRC(*1) Edition」(税込2,800円)とほぼ同じ内容である。 特徴 探索 所謂メトロイドヴァニアと呼ばれる探索型のアクションゲームである。 各地にはキャラのアクションや基本ステータスを増やすアイテムが散らばっており、取得することで探索できる場所が広がっていく。 ストーリーの進行によってある程度攻略の順番は決まっているものの、基本的にはどこを行っても自由。 フィールド上にはセーブポイント・ワープポイント、難易度によっては回復地点などが設置されている。 戦闘 近接攻撃を行うエリナとショット攻撃を行うリボンの二人で戦っていく。 エリナ(人間になった兎):ハンマーによるコンボ攻撃を行うことが出来る。ただしスタミナが存在するため一方的に殴り続けることは出来ない。 キャロットボムと呼ばれる爆弾を自分の足元に落とすことも可能で、地形や状況によって使い分けることが出来る。 各アクションにはレベルが存在し、使い続けることで新たなコンボを獲得することが出来る。 リボン(妖精):ショットを使い遠距離攻撃を担当。エリナ同様ゲージが存在するが、通常のショットでは減少せず、チャージショットを放つことで減少する特徴がある。 敵にショットを当てると「親密度」が上昇し、チャージ速度や後述のブーストゲージの増加量が上がる。 最初はストレートに飛ぶ攻撃しかできないが、特定のアイテムを取得すると様々な特徴の攻撃を修得できる。 ある程度ストーリーを進めるとブーストゲージが表示されるようになる。ショットを当てるごとに蓄積し50%以上でブースト攻撃を放つことが可能。 また、ゲームの大きな特徴の一つに、ボス・雑魚共通してSTGのような弾幕攻撃を展開してくる点がある。 序盤は簡単なものだが、中盤以降ボス戦は画面を埋め尽くすような攻撃が増えてくる。また、道中の雑魚敵もそれなりの密度で弾幕を展開してくる。 判定 通常時は確認できないが、ボス戦開始時にエリナの首元あたりに判定を確認することが出来る。見た目と比べて当たり判定は極端に小さく、足元を通過する攻撃や耳あたりを通過する攻撃は動かずに回避可能。 ダメージボーナス 戦闘中に攻撃を当て続けるとランクゲージが増加し、それに応じてダメージボーナスが発生する。ランクはEからA,S,SS,SSS,MAXまでの9段階存在する。 一定時間ダメージを与えなかった場合ランクゲージは緩やかに減少していき、被弾したり、コンボカウントがリセットされてしまった場合は、ランクゲージが急激に減少してしまう。 お守り STGで言うボムのような物。一定時間無敵になり、エリナのSPゲージが一定値回復(*2)、さらに画面内の敵にダメージと硬直を与える。 敵の攻撃回避に利用することは勿論、コンボの終わり際に使うことで硬直した相手にさらにもう一回コンボを加える攻撃的な利用も可能である。 使用するとゲージを1回分(1個)消費するが、時間経過でお守りゲージは回復していく。最初は1回しか使用できないが、ストーリーを進めるか、ショップで強化することで、最大で4回分までゲージが増加する。(*3) バッジ 各地に散らばる装備アイテム。攻撃力アップなどの特殊効果を上乗せすることが可能。 PPと呼ばれるコスト制限が存在し、バッジによりコストも異なるため多少の取捨選択が必要。ただし、バッジアップと呼ばれるアイテムを拾得するとPPの上限がアップする。 難易度 CASUAL/NOVICE/NORMAL/HARD/HELL/Bunny Extinctionの六つの難易度が用意されている。 NORMAL以下の難易度では、同じ場所で3回以上ゲームオーバーになった際に強力なバフを得た状態でスタートするかを選択できるため、どうしても難しいボスがいて進めない場合は、これを利用すると楽になる。 弾幕攻撃の物量はNORMAL以上で大きな違いはなく、難しさはダメージ量などで調整されている。代わりにCASUALとNOVICEは分かりやすく弾幕攻撃に違いが出る。 どうしても難しい場合は、ある場所にいるNPCに話し掛けて難易度を1段階下げる事ができる。逆に上げる事も……? また、アイテムの収集率とストーリー進行でボスのレベルが上がっていくスタンダードと、ストーリーの進行のみによってボスのレベルが上がるオルタナティブの、2つのゲームモードが存在する。(*4) 言い換えると、スタンダードはアクション偏重、オルタナティブは探索偏重のゲームバランスになっているが、よほど熱心にアイテムを集めない限り、スタンダードの方がボスのLvは低くなる。 ラビラビタウン このゲームの拠点となる街。 一度倒した名前付きのボスキャラはこの街に移住して味方になり、話しかけてお金を払うことで、一定時間有効なバフを買うことが出来る。 アイテム強化や回復アイテムの補充などを行えるショップも存在する。 評価点 アクション ポップな見た目とは裏腹に、アクション要素は非常に歯ごたえがあり好評を博している。特にボス戦は苛烈な弾幕を矢継ぎ早に繰り出してくるため白熱した戦いになること請け合い。 攻撃のパターンはキャラの特徴をいかしたユニークなものが多数用意されており、ボス戦が非常に多いゲームではあるものの、マンネリ感は少ない。 避け方も単純に移動やジャンプでかわすものから、両方を組み合わせて安置を目指していくなど様々な動きを要求される。 一見して絶望を感じるような攻撃にも明確な回避方法は用意されており、理不尽と呼べるような弾幕は少ない。場合によっては一切動かず立ち止まることが正解の弾幕もある。フィールドに残存するオブジェクトを設置する攻撃は次の行動によって厳しくなる場合もあるが数は少ない。(*5) 難しい配置はお守りを使用することで回避するのも手だが、システムの点でも紹介した通りお守りを使いコンボを複数回繋げる利用法もあるため多少は考える必要がある。 再挑戦するたびにプレイヤーによって「この攻撃はお守りを温存して次のコンボで利用しよう」といった戦略性も生まれてくるところも評価点の一つだろう。 また、ショットを効率よく当てていくことで増えていくダメージボーナスも緊張感ある戦闘の実現に一役買っている。 特徴の項で紹介した通り、ランクが上昇するとダメージが増加していくシステムだが、これを意識せず敵の攻撃を躱すことに必死になると時間経過によってゲージが減少=与えるダメージも減少し長期戦になってしまう。 逆に言えば攻撃を当て続けることが早期決着及び攻略への近道でもあり、プレイヤーは必然的に敵の攻撃を見切る⇔コンボ攻撃を決める両方を忙しく切り替えながら戦うようになる。 ボリューム ボス戦はDLC部分を除いたメインシナリオ上で30戦程度存在し(再戦含む)、非常に多い。 やり込み要素として各ボス戦のダメージボーナスによるランク・ノーダメージ攻略などが用意されており、メニュー画面に記録として残るようになっている。 ポストゲームをクリアすると今までのボスと再戦できるようになるため実績などを回収したいプレイヤーも安心。 Item0%攻略のような縛りプレイも、公式で「ある地点をアイテム取得なしで通過すると各地にジャンプ台が出現し詰みがなくなる」ように設計されており、クリア後の楽しみも豊富である。 ドット絵 キャラ・背景ともにドットでデザインされ、見た目は明るめ。クオリティも高い。 特にキャラクターは目が大きめの萌え系で非常によく動く。ボス戦ではキャラによって色々な表情やポーズが用意されているため余裕があれば見てほしい。 BGM 「Adventure Starts Here」や「Rabi Rabi Town」の様な懐かしさ満点の曲、激しいシンセやピアノアレンジを加えた攻撃的なボス戦BGMなど、いずれの楽曲もプレイヤーの評価は高い。 海外産音ゲーなどにも多数楽曲を提供している3R2氏やTriodust氏などがサウンドチームとして参加しており、一部には音ゲー楽曲さながらの展開を見せるBGMも存在する。あえて古風な楽曲で統一されがちな2Dアクションという分野においては非常に新鮮。 賛否両論点 ストーリー 2Dアクションではあるが会話イベントなどがところどころに挟まっており、ストーリー要素もそれなりに存在するゲームである。 ある時を境に一頭を残し全てのウサギが消えた島という設定・ストーリーは独特な味があり、評価するプレイヤーもそれなりにいる。 しかし、少ない会話の中で断片的な情報しか出てこないため一周目で話の大筋を理解するのは難しい。 冒頭ではエリナ(兎)が人間になったシーンが描かれるがその理由はラスト、一部の情報はDLCのラストまで持ち越され、まずはいなくなったキャラを探す旅に向かうことになる。 その際に使用するワープストーンの存在やワープ先、その後の展開については唐突すぎてついていけないプレイヤーも少なくないだろう。 その他も謎を多く残す展開が存在するため、序盤~中盤はストーリーを追いかけるのに苦しむ可能性が高い。 キャラクター うさ耳、猫耳、妖精、魔女っ娘、空気っ娘、植物娘…etcと多種多様な女性キャラがボス・味方として登場し、 萌え・性癖の闇鍋 ともいうべきキャラクター陣は人気が高い。 ボスキャラ同士の絡みも多少なり存在し、その分野が好きなプレイヤーは非常に楽しめるだろう。アイテムの一つにユリバッジという素敵な名前のバッジも登場する。 ただし、安易な萌えネタやキャラいじりが多く存在するため苦手な人は苦手なノリであることは確かである。 キャラクターのデザインも影響元が分かりやすく、一部のプレイヤーは違和感を抱く可能性も。 後半のステージ設計 ポストゲームと呼ばれるチャプターからDLCにかけてはスパイクや高ダメージのトラップが配置される場面が多くなり、人によってはボス戦並みに苦労する。 一応スパイクダメージを軽減するアイテムが存在するが、それを取得していない場合は地獄を見る可能性が高い。 セーブポイント以外にもリトライ地点が設置されるなど多少の配慮はなされているものの、HPが少ない状態でリトライ地点を通過すると当然瀕死の状態から再開することになるため、進退窮まり最悪ロードを行う状態に陥ってしまう。 ゲームを通してのマンネリ感を払拭するための配慮として一概に悪い点とも言い切れないが、ボス戦に比べると雑な作りになっている箇所が多く、熾烈なボス戦を期待しているプレイヤーにとっては退屈に感じる可能性もあるだろう。 問題点 雑魚敵 中盤以降はボス同様に弾幕攻撃を展開してくる雑魚敵がちらほら現れる。 そして出現するものによっては的が小さく素早いため攻撃を当てにくい。よりによって複数体出現する箇所も存在し、結果ボスの攻撃よりも激しくなることがままある。 基本的に一体ずつ対処していけば脅威になることは少ないものの、ゲームの性質上何度も同じエリアを通るため2回目以降は多少面倒。 エリアが複数繋がった大きなエリアでは、プレイヤーの視界外から執拗に弾幕をはなってくる敵も存在するため、なおさら敵を丁寧に倒していくことが重要になる。 また、エリナは被弾時のノックバックが大きいため「画面隅で敵に対処していたら攻撃を喰らってエリア移動してしまい、また一からやり直し」という状況に陥る事もある。 一応小まめにセーブポイントなどが設置されているため、ボス戦以上にリトライを要求するという区間はほとんどないのが幸いである。 その他 画面上部に消え弾幕攻撃を展開した後エリナの真上から落下してくるボスが存在し、初見では面喰らう。当然接触ダメージは存在するのでぶつかると痛手になる。 エリナの挙動が弾幕を避けられるよう細かく調整されている弊害として、崖端からのジャンプがシビアである点が存在する。これによって真上に天井が存在する区間ではそれに頭をぶつけて下のエリアに落ちてしまうというミスが頻発する。 進行を妨げるブロックの破壊方法がいささか分かりづらい。ボムで破壊するブロックが基本ではあるが、実はハンマーで壊せるブロックや、あるアイテムで溶かして進む氷のブロックなども存在している。プレイヤーによっては破壊できるのに後回しにしたまま別の地点へ行ってしまう可能性もある。 PC版の問題点 ゲーミングモニターと呼ばれる、高リフレッシュレートのモニターを使用するとゲームスピードが速くなってしまう。起動オプションである程度の対応が可能。 PS4版の問題点 チュートリアルの文章で本来ボタンを示す部分が*7などの記数字になってしまっている。 PC⇔PS4での文字の表示方法による問題とのことで、対応するという話は出ている。そうでなくとも、メニューから確認できるコマンド表ではきちんとしたものが見られるので影響は薄い。 総評 ポップなドット絵・キャラクターから放たれる予想外に激しい弾幕攻撃が話題を呼んだ作品。 アクション部分はしっかとり練られており、見た目は激しいボスの攻撃にもきちんとした対処法が存在するため何回か挑戦することで乗り越えられる、歯ごたえ充分なゲームバランスに仕上がっている。 ボリュームについても一周するだけで値段相応かそれ以上は遊べる作品で、やり込みまでやるというプレイヤーには破格な値段設定であろう。 基本避けゲーであること・あからさまな萌え要素が存在するということに抵抗がないゲーマーには是非プレイして欲しい作品である。
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思い出GAMES!東海再オンエア 【おもいでげーむす とうかいさいおんえあ】 ジャンル アクション 対応機種 iOS(iOS11以上)Android(7.0以上) 開発元 変幻茶屋 発売元 中京テレビ 発売日 2021年3月15日 定価 500円 判定 なし ポイント YouTuberの人生を追体験 東海オンエア関連シリーズイケ麺はつくれる! / ズキューーン / ボクチキ / 東海再オンエア 思い出GAMESシリーズゾックゾクアドベンチャー / 東海再オンエア 概要 特徴 評価点 問題点 総評 余談 概要 変幻茶屋が展開する思い出をゲームとして共有するコンテンツ『思い出GAMES』シリーズ第2弾。 今回の主役となったのは愛知県岡崎市で活動する6人組YouTuber「東海オンエア」のリーダー・てつや氏。 彼の高校生時代から現在までをゲームで追体験していく。 特徴 アクション 横スクロールのアクションステージを進んでいき、特定の場所まで到達するとイベントが進行する。 操作は移動とジャンプ、特定のキャラや場所で押すとイベントが発生するイベントボタンの3種類。 特定の場面のみ投擲武器が使用可能になる。 思い出ミッション 特定の場面まで進むと思い出ミッションと称したミニゲームが発生する。 評価点 ネタの豊富さ 「個人的な思い出をゲーム化」という触れ込み通り、ゲームとしての脚色はあれどしっかりと再現されている。 排気ガスが回復アイテムのレースアクションや実際に配布していたビラを投擲武器にするなどちょっとしたバカゲー的なノリもある。 ファンでも知らないようなマニアックなネタには解説が挟まれる。 演出面においてもネタがかなり充実している。 各イベントシーンやアクションパートのドット絵は細かく作りこまれており、場面ごとに当時の髪型や服装を再現している。 本作のBGMは彼らが動画で使うフリーBGMがそのまま採用されており、ファンならニヤリとする要素である。 初投稿動画の「鼻からミルクティーを一気飲み」や現在は視聴できない「味噌汁風呂作ってみた《先輩の家で勝手に》」をイベントシーンで再現している。 問題点 ボリュームが薄い アクションステージは難易度が低く短い。2時間足らずでクリアできる。500円相当のボリュームとは言い難い。 寄り道や隠し要素、ミニゲームのやり込み要素は存在するがそれでもボリューム不足を補っているとは言い難い。 東海オンエア結成から現在までは駆け足気味。 チャンネル登録者数100万人までの道のりはミニゲームによるオリジナル展開でそこからは一気に現在までスキップされる。 結成から現在までの軌跡は彼らの動画を視聴してくださいということかもしれない。 イベントシーン 文字送りが自動進行のみで手動で進めることができない。バックログもない。 アップデートにより早送り機能が追加された。 ラストステージ 難易度がげきあまと修羅の2種類あるのだが両極端すぎる。げきあまであればギミック無しの段差を登っていくだけであっさり終わる。逆に修羅は調整不足と言える難易度になる。 ジャンプの高さや距離と足場の幅、着地点の敵の配置と攻撃頻度が噛み合っておらず、ダメージを必ず受けないと進めないような場所が存在していた。 アップデートにより修羅の難易度が下げられた。 総評 イベントシーンは「個人的な思い出をゲーム化」という触れ込み通り内輪ネタを織り交ぜながらもファンサービスも多く、本人だけでなくファンであっても十分に楽しめる。 しかしゲームとしての完成度は低く、値段相応とは言い難いボリュームとなっている。ゲーム性よりもイベントを見て楽しむゲームと割り切るしかない。 開発の変幻茶屋は本シリーズをデジタルファンアイテムと称しており、その趣どおりファンであれば購入して損はないだろう。 余談 配信の2日前となる2021年3月13日に本作の宣伝番組「人生のゲーム実況!東海再オンエア」が中京テレビにて放送された。 実際に東海オンエアが本作をプレイしながら当時の思い出について語る内容になっている。 現在では公式Youtubeチャンネルにて視聴可能。この番組で明かされた本人の裏話もあるため、ファンであれば視聴をしてみるといいだろう。但し、ゲームのほぼ全編を番組内で公開しているためゲームのネタバレが嫌な人は注意。
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ワイルドアームズシリーズリンク 機種 タイトル 概要 判定 PS ワイルドアームズ 2Dドット絵RPGの集大成を感じさせる、PS初期を代表する名作。 良 PS2 ワイルドアームズ アルターコード F 一作目のリメイク版。シリーズ初のボイス搭載作。丁寧な作りがなされているが、いくつかの問題点も。 良 PS ワイルドアームズ セカンドイグニッション 「英雄とは何か」を問う白熱のシナリオ、そこからくるラストバトルはシリーズ最高と評されるほど。 良 PS2 ワイルドアームズ アドヴァンスドサード 粗削りな部分もあるが、シリーズ中最も荒野と口笛を体現しており一定の人気がある。 良 ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター 開発期間短縮のせいで打ち切り漫画のような出来に。もしもきちんと時間を取って作り込んでいたら…。 なし ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード 前作の問題点を解消し、ボリュームと濃厚さを兼ね備えるが、故あって従来のファンからの評価は賛否両論。 良 PSP ワイルドアームズ クロスファイア 初の携帯機タイトル。ジャンルはSRPG。凝った仕掛けやMAP構成が多く、頭を使って攻略する楽しみは健在。 良 執筆対象外 ワイルドアームズ ミリオンメモリーズ(iOS/Android) 2018年9月サービス開始。2020年2月サービス終了。
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鳥人戦隊ジェットマン 【ちょうじんせんたいじぇっとまん】 ジャンル アクション 対応機種 ファミリーコンピュータ 発売元 エンジェル 開発元 ナツメ 発売日 1991年12月21日 定価 6,000円 判定 なし ポイント スーパー戦隊シリーズ初の単独ゲーム化アクションゲームとしては手堅い作りキャラゲーとしてはボリューム不足かつ単調 スーパー戦隊ゲームリンク 概要 主なシステム 道中戦 ボス戦 バトルモード 評価点 問題点 総評 その後の展開 余談 概要 1991年から92年まで放送されていたスーパー戦隊シリーズの1作『鳥人戦隊ジェットマン』のゲーム化作品。 『ジェットマン』はシリーズのマンネリ化を打破するために意欲的な試みを多く行った作品であり、特にトレンディドラマの要素を取り入れた恋愛ドラマ(*1)は視聴者に強烈な印象を残した(*2)。 そんな原作に対して、本作はメイン視聴者である低年齢層を意識した、横スクロールのアクションゲームとして発売された。1人プレイ専用で「イージー」「ノーマル」「ハード」「ベリーハード」の4つの難易度が選択できる(後者2つはエンディング後に表示されるコマンドを入力することで解禁される隠し要素)。 主なシステム ゲーム開始後にA~Eの5ステージが出現し、全てをクリアすると最終ステージに進むことができる。 各ステージの奥まで進むと次元獣/バイオ次元獣(本作の怪人)が出現し、ジェットイカロス(巨大ロボ)に乗って戦うボス戦に移行する。 道中戦 ステージ選択後、5人のジェットマンから1人を選ぶ。選んだメンバーによって下のように武器と初期ライフが異なるが、ステージ構造などは特に変わらない。 メンバー 使用武器 初期ライフ レッドホーク ブリンガーソード(剣) 8 ホワイトスワン バードブラスター(銃) 6 イエローオウル ウイングガントレット(拳) 7 ブルースワロー バードブラスター(銃) 6 ブラックコンドル ブリンガーソード(剣) 8 十字ボタンでジェットマンを操作。Bボタンでジャンプ、Aボタンで攻撃。十字ボタン上+Aボタンで蹴り上げ攻撃(上方向に強い攻撃)が可能(どのキャラクターでも性能は同じ)。 ストックがある状態でSTARTボタンを押すと、各キャラクターにつき1回だけ画面内の敵を一掃できる「スカイアタック」を放つことができる。ストックは敵が落とすアイテムを集めることで貯めていく。 このため、本作でポーズをするときはSELECTボタンを押す必要がある。 ライフが0になると1ミスで、別のメンバーから改めて1人を選ぶ。ステージクリア後は再び5人から選べるようになるが、同じステージで5人全員がミスするとゲームオーバーとなる。 敵からのダメージは1固定で、敵が落とすアイテムで回復することができる。 ボス戦 グレートイカロスを操作し、敵怪人と1vs1のバトルを行う。基本操作は道中戦と同じだが、以下のような格闘ゲームに近い操作性になっている。 通常攻撃は最大で3連続まで放てるが、敵が攻撃を避けたりガードしてきたりすることがある。 ジャンプの距離や空中での動きは制御できるが、振り向き動作は用意されておらず、グレートイカロスは必ず右側を向いた状態で戦う。 十字ボタン下で敵の攻撃をガードできるが、ダメージを半減するだけでノーダメージにはできない。 画面下のゲージが一定量溜まっているときにSTARTボタンを押すと必殺技が出せる(ポーズはSELECTボタン)。ゲージは時間経過で上昇し、多く溜まっているときダメージは大きくなる。 敵のライフゲージを0にするとグレートイカロスが必殺技を放つ演出が挿入されてステージクリアとなる。逆にこちらのライフが0になるとゲームオーバーとなる。 コンティニューに制限はないが、そのステージの最初から(ボス戦でゲームオーバーになった場合も道中戦の最初から)のやり直しとなる。 タイトル画面で数字4文字のパスワードを入力する事により、途中ステージからの再開が可能。パスワードはステージクリア後かゲームオーバー後に表示される。 バトルモード ラスボス以外のステージボスと戦うことができるモード。勝っても負けても専用の一枚絵が表示され、その後は再び好きなボス戦を選んでの再トライとなる(倒したボスとの再戦も可能)。飽きるまで好きなボスと戦うことができるエンドレスモードである。 評価点 ナツメ開発の作品だけあって操作性は良好。アクションゲームとしてストレスを感じるところはまったくない。 「演出のが薄い」というのは裏返せば「過剰な演出がない」ということでもあり、テンポよく進めていくことができるのは、アクションゲームとしてはプラス評価になる。 OPデモ、ボス戦前のデモにおける、ジェットイカロスとジェットガルーダが合体してグレートイカロスになるアニメーションはクオリティが高く、一見の価値はある。ぱっと見はFCのゲームとは思えない程の職人的書き込みとなっている。 スタートボタンで上記のアニメシーンのスキップが可能。頻繁に挟まれるシーンなのでありがたい機能。 BGMはFCの性能を超えているといっても過言ではないレベルの音源で、極めて高クオリティである。また、OPデモシーンのテーマソングもインストバージョンとしてTV版を上手く再現している(残念ながらサウンドテストは不可)。 問題点 ジェットマンの性能に差がない レッドとブラック、ホワイトとブルーは使用武器・ライフ値も同一の完全なコンパチであり、実質的には3種類しかキャラクターがいない。 しかも、イエローとレッド・ブラックとの性能差もほとんど感じられないので、「レッド・イエロー・ブラックの接近型」と「ブルー・ホワイトの射撃型」の2種類しか存在しないと言って差し支えない。 説明書には「ステージに合わせたキャラを選べ」とあるのだが、道中戦の仕様を考えると、彼らの存在意義は残機数と考えるべきであろう。 アクションゲームとして単調すぎる 道中戦はどのステージもひたすら一本道を進んでいくだけで、武器で攻撃しないと壊せない壁や一部ステージに動きが遅くなる水たまりがある以外はトラップもギミックもない。「落とし穴すら存在しない」と言えばその低難度ぶりが分かるだろうか。 ザコ敵の種類も数も少ないうえにどれも弱く、せっかくのスカイアタックも使う機会がないままクリアできてしまう。 ボスはどれも見た目が違うだけで、主な攻撃パターンが素手の突きと飛び道具の2つしかない。グレートイカロス側もできる行動が少ないので、どうあがいても単調な操作しかできない。 ボス戦は「ひたすらガードしてパワーゲージが最大まで溜まり次第必殺技を出す」という戦法で勝てる。というより、ボスによっては攻撃が激しくてそうしないとまともに勝てない。 難易度の違いはザコ敵の数と耐久度がアップする程度。「ハード」「ベリーハード」の実態も、ライフが1のままでプレイさせられるだけという水増し気味の内容である。 演出の物足りなさ 道中戦の操作キャラクターが小さく、体型・性別が描きわけられていない(*3)。 『ジェットマン』は飛びながら敵と戦う場面の多い作品なのだが、本作でジェットマンが飛行するのは、スカイアタックを使用したときの演出のみである。 ボス戦の背景が黒一色。グレートイカロスや敵怪人のグラフィックの出来が良いだけに、街中で戦っている雰囲気が出ていればと惜しくなる。 幕間のデモが存在せず、敵怪人がなぜ出てくるのか、ジェットマンがなぜ戦うのかがゲームだけでは分からない。 原作と比べたときの物足りなさ 道中戦ではグリナム兵(戦闘員)と次元虫(次元獣/バイオ次元獣の元になる魔物)、ボス戦では次元獣/バイオ次元獣、セミマル(*4)と戦うのに、原作の華とも言える敵幹部はゲーム中に一切出てこない。 発売時期を考えると原作どおりの展開にはできないだろうが、ジューザをラスボスにするなどのオリジナル展開にすれば、敵幹部を出演させられたのではないだろうか。 ボス戦で使用できるのはグレートイカロスのみで、合体前の姿であるジェットイカロスとジェットガルーダは、OPデモやボス戦前のイベントシーンの登場にとどまる。 3号ロボのテトラボーイも登場しないが、テトラボーイの初登場が原作31話=9月であることを考えると、無理はないかもしれない。 総評 操作しやすく難易度が低い点は子供向けのアクションゲームとして良好だが、操作キャラクターに大きな差がなく、登場人物どうしの掛け合いもないシンプルすぎる演出は、個性を十二分に発揮していた『ジェットマン』らしさをほとんど感じられない。アクションゲームとしてもステージの数やバリエーションが少なく、総じてボリューム不足が目立ってしまっている。 『ジェットマン』のゲームとしてもナツメ製のゲームとしても物足りない、惜しい1作である。 その後の展開 後継番組の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』もFCでゲーム化され、同じメーカーから発売された。こちらは、キャラゲーとしての演出が改善された一方で、アクションゲームとしての完成度は本作よりも明らかに劣化してしまった。 秘密基地建設ゲーム『アジト3』のユニットとして『ジェットマン』の5人が参戦している。オリジナルキャストではないが、檜山修之氏や玄田哲章氏など豪華声優陣が声を当てている。 余談 実は「スーパー戦隊シリーズ」でファミコン化された本作と次作『恐竜戦隊ジュウレンジャー』は結果的に原作のシリーズでも作品名の転換点になった作品である。 それまでは1983~1984年の『科学戦隊ダイナマン』以後「~マン」が王道路線だったが、これ以後は「~レンジャー」が固定路線となった(*5)。 その後2000年代後期にはさすがにネタ切れか「レン」にあたる部分もいろいろ改変されるようになったが「~ジャー」が王道と言うスタイルは、これから30年以上が経過した現在も続いている。
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赤ずきんチャチャ 【あかずきんちゃちゃ】 ジャンル RPG 対応機種 スーパーファミコン メディア 12MbitROMカートリッジ 発売元 トミー 開発元 ランドワーフ 発売日 1996年8月9日 定価 7,800円 判定 良作 ポイント TOMYのSFCソフト最終作ドットが神品質 概要 内容 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 アニメや漫画で展開され大人気だった『赤ずきんチャチャ』のゲーム化作品。 原作漫画とアニメでは内容が全然違うが(*1)、この作品はアニメ版を元にしつつ、それとはまた違ったオリジナルストーリーが展開される。 同名で発売されているGB版(*2)も、また違った内容のゲームである。 『魔法騎士レイアース』で好評を博したトミーという事もあって発売前から色々と盛り上がっていた。 本作は、電源を入れると、タイトルではキャラクター達が一枚絵で迎えてくれる。作中では顔グラや一枚絵が殆どないかわりに、ドット絵や戦闘中の会話などが豊富に盛り込まれている。 内容 ストーリー チャチャ、しいねちゃん、リーヤの3人はセラヴィーやどろしー達と暮らしていたが、ある日、ホーリー、ローリーのコンビに出会う、この世界は別な世界ぽぽんたと繋がっておりそこに脅威が迫っている事を告げられる。 平和な場所で次々と起こる怪事件、珍事件を解決しながらストーリーの本質へ近づいていく。 多くの原作キャラの助けを借りて妖術師ドドリーマーの悪だくみに立ち向かう。 舞台の上 話の最初には3人が登場して色々と盛り上げてくれる。 エンディングの際は、ただのスタッフロールではなく、3人トリオによってスタッフの名前が出て来る。 戦闘システム サイドビューでコマンド方式で行われる。 チャチャ達は最初から色々な魔法を覚えており新しく覚える事はない。 最初から最後まで全てボスバトルであり、ザコとのエンカウントは一切ない。リソースは限られておりその中から状況に応じて戦い方を組み立てるのが本作の醍醐味である。 評価点 原作の登場人物が多数登場する 主人公たちは勿論、セラヴィー好きのやっこちゃん、リーヤ好きマリン、ももんが流忍者のおりんちゃん、学校の先生など原作でお馴染みのキャラクター達が多数登場。 マリンはリーヤの獣形態は嫌いなど、バラトゲの先生、鞭使いなど原作通りに振る舞う。ドクター・ホー、各地で手助けをしてくれる物知りふくろう、263さいのグレートマザーなども登場。 素材 キャラクターのグラフィック 一枚絵や顔グラは殆どない代わりに、ドット絵は更に磨きがかかっている。斜め移動も出来るようになりその際のグラフィックも用意。 ダッシュ機能では、チャチャ、しいねはホウキに乗り、リーヤは変身して移動速度が向上。 人物の周りを周回する動作も面白い、同社の『エスパークス』からの輸入と思われる。 文章の仕様 台詞は漫画のような噴き出しで雰囲気がある、ビックリした際はジグザグ形状の枠である。 文章は漢字が使われており、子供向けに作戦(さくせん)、信用(しんよう)と振り仮名が振ってある、更に太文字で強調するなど丁寧。 マップ チャチャの家から学校まで原作にもあった場所が豊富に用意。 トミーの前作、前々作にあった無駄に広くて移動に困るという問題点も見事に解消されており、時間をいたずらに費やすという事はない。 マップチップも非常に描き込まれており、水辺の近くの樹木をとってもただの反転画像ではなく、地上にあるのと水面に映っているのとで違いが描き分けられている。 戦闘画面 戦闘魔法はアイコンと解説で分かり易い。 チャチャ達は多彩な動作、敵はアニメーションしたり、吹き出しで色々な表現で会話するなど、スクウェア名作にもなかった要素が盛りだくさんである。 魔法やアイテムにはアイコンが付いて分かり易い。更に個数や解説も表示される。 MPはグラフで表示、使った後の残量がどうなるかも表示。補助魔法は既にかけている際はONマークで分かり易い。 その他 看板ではキャラが止まるようになっており読みやすさが向上している。 賛否両論点 仲間をすり抜ける事が出来ない。 当たり判定があるためスムーズに移動できない。急かすとどいてくれる。 アクション要素は一切ない 序盤の戦闘は厳しいが、フィールドではシビアな動作も要求される事もなく、リーヤが溺れている際に制限時間があるわけでもない。ただし、記憶力は要求されるイベントはある。 ゲームバランス 最初は厳しいが、その後は回復アイテムが多く手に入るので易しくなる。更にクイズに正解すると回復アイテムがもらえるイベントまで用意、回数は無制限、問題は固定なので安定して手に入る。同社のSFC1作目の凶悪さとはえらい違いである。 状態異常の眠りも最初からラスボスまで全員に効いてしまう、その間にしいねがスピードアップ魔法を使っておけば楽である。 アニメ版同様、チャチャがマジカルプリンセスに変身可能。ファンには嬉しい要素。 戦闘力はたいして変わらない。変身しなくてもクリアは可能。 戦闘曲が変わるのはこの際だけである。 リーヤも獣形態に変身可能。攻撃力が上がる。 しかし防御力が下がって回復の手間が増え、かえって足手まといになってしまう。 ラスボス + 一応伏せる 全体攻撃は強めだが嫌らしい攻撃はやってこないので安定して勝てる。倒した後はふてくされて片付けもチャチャ達に丸投げして帰るという有様で、後にセラヴィー達も見かけたというが見かけただけで見逃した模様、後に本拠地に行ってみると長い眠りについたとの事。 チャチャは戦闘漫画ではなく、ドドリーマーの悪事も悪質な嫌がらせ程度だったので、このあたりが丁度良い落としどころと思われる。 ラスボスを倒した後でもセーブが出来てしまうのは珍しい。こんな事が出来るのは『Sa・Ga2 秘宝伝説』以来であろう。 問題点 セーブファイル ファイルをコピーする事ができない。セーブファイルは実質1個となってしまっている。 こういう不便さは『BUSHI青龍伝 ~二人の勇者~』くらいで珍しい。勿論悪い意味でだ。 「消す」機能も用意されているが、うっかり選ぶと選択肢も出ないで削除されてしまう。 ゲームバランス ザコ戦がない。最初から最後までずっとボス戦。 このため成長要素がほぼない。魔法は最初から全部覚えていて、HP/MPはストーリーを進めることで成長していく。 攻撃魔法は炎・雷・水・爆撃など色々あるが、属性の概念はなくどの攻撃魔法も同じ。 最初のボスは最大HP50のところに全体攻撃で20ダメージが飛んで来るので大変である、軽減する方法も無いので3回で全滅する計算になる。チャチャの全体回復やアイテムも限られており長期戦は危険である。 HPも250あり効果的に戦わないと押し負ける。ハードボイルドなゲームならまだしもチャチャ1回目の戦闘の難易度ではない。 なお、トミーSFC前作の『魔法騎士レイアース』の最初のボス戦は魔法一発で終わる。そちらは終盤にかけて厳しくなっていくのに対し、こちらはヌルゲーと化していくが。 以降もボス戦闘しかない。エンカウントも通貨もないのでレベルを上げたりアイテムを持ちこんでゴリ押すという事は出来ない。最初に、限られたリソースで立ち回るのは厳しい印象を強く与えており、チャチャの世界観に合っているかは疑問。 実際は多くの登場人物から回復アイテムをもらえるので意外と楽だが知らないと難儀。また、やり込みプレーヤーが低レベルに挑む楽しみも無い。 戦闘曲が少ない 戦闘曲は2曲のみ。1曲目は最初からラスボスまで全部変わらない。もう1曲はチャチャが変身した際のBGMである。 その他 素材 一枚絵はタイトルの静止画1枚のみであり、作中では顔グラや一枚絵は一切ない。その代わりドット絵の方は精緻に描き込まれておりあらゆる表現を見せるので好評。 メニューを開くとBGMが初期化 メニューを開くたびにBGMが無音になりその後最初から流れる。FC版イースみたいな仕様であり雰囲気を損なうと言える。 5匹のチャタンの並べ替え + 長いので閉じる ダンジョンで5匹の色違いのチャタンを1匹ずつ倒していかなければならないのだが、問題は5匹倒した後。 戦う前に自分が何番目に強いのかは言うのだが、後でその5匹を強い順に並べる事を要求される。本作はセーブファイルのコピーが出来ず、ダンジョン内にはご丁寧にセーブポイントまで用意されているため、5匹を倒す前からやり直す事が出来なかったプレーヤーは多かったと思われる。実況動画なら後で見返す事も可能だが、当時は一般的ではない。 それぞれ、自分より強いのが何名いるぞと言うのだが「ウソとホントが混在している」ため手掛かりになっていない、実際に並べても順番が1個違うだけで全然ダメと言われるのでまったくもって見通しが立たない。 ゆえに、色を全く覚えていない際は実質ノーヒントで24通り試す事になる。内部プログラムはX座標だけで判定している模様、残り4匹を斜めに配置して左右に動かして順番を変えていけばそのうち解けるのだが、かなりの時間を棒に振るのは必至。 120通り(5!)だが、しいねが最後尾が紫だと教えてくれるので24通り(4!)になる。 + 正解はこちら 黄強3、赤強1、緑おまえ、白弱2、紫強4の順番。 赤と紫が正直に本当の事を言っている。 ちなみにそれが後にタス山の洞窟での出題のネタになっている、そちらは3択なのでやり直すのが面倒なくらいで済む。 勿論、こんなものにチャチャの要素など一切ない…のだが、やり直しは何度でもさせてもらえて詰むわけではなく、解けた際は約束を守る。ややちゃんの事は大事に扱っていたようで、自分たちが後にドドリーマーにひどい目に遭わされるのを承知でチャチャ達に返してくれる。 リーヤが溺れている際 民家の内部にいるペンギンに助けを求めるのだが分かり辛い。近くの3匹のチャタンに話しかけるとペンギンも色々と話すのでペンギンにも話しかけたのだと錯覚してしまいがちだが、これは直接ペンギンに話しかける、でないとダメ。 本作に制限時間というものはないのだが、状況が状況だけにプレーヤーが慌てて判断力が落ちるのも仕方のない所である。 各話の最初からやり直せる仕様でもあれば良かった 5色のチャタン、ラスボス後にセーブした際を考えると、そういう需要もあったであろう。 総評 ゲームバランスはうまく調整されている面が多く、グラフィックでもドット絵で表現されたチャチャの多くの登場人物による物語が繰り広げられる作品である。ボス戦がずっと続くなど問題点は大きいが、当時のRPGとしては十分良作といえよう。 余談 トミーはSFCでクイズ、ボードゲーム、キャラゲー、将棋など多彩な作品を世に送り出して来た。本作でTOMY製SFCゲームは有終の美を飾ったと言える。 昨年95年4月28日にはゲームボーイ版が発売されており、その翌月にアニメは最終回を迎えている。 本作以降は、同年96年10月25日、PC-FXで『赤ずきんチャチャ お騒がせパニックレース』が発売される。
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夢の坂 【ゆめのさか】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 Windows95 発売・開発元 acute 発売日 1998年9月25日 定価 8,800円(税別) レーティング アダルトゲーム 判定 クソゲー ポイント 起動に一手間必須「ゲーム作れませんでした」⇒ 製作中のデータを納めて出荷シナリオの完成度は非常に高いまさかの有志によるリメイクも配信 概要 あらすじ キャラクター紹介 伝奇ものとして 登場人物同士の会話 問題点 起動方法が厄介 評価点 総評 移植 余談 動画による解説 概要 ブランド「acute」のアダルトゲーム2作目にして、色々な意味で有名になってしまった作品。 もっとも、無名ブランドのため被害者は少数だったと思われる(*1)。 2013年まではPINKちゃんねるのクソゲースレで稀に「起動できないゲーム」として細々と語られるだけの存在だったが、疑問に思ったコレクターでライターの赤野工作が調査した結果起動出来る事が判明し、シナリオの斬新さが再評価された。 あらすじ 『 夢 の 坂 』それは怪しげな伝承をもち、今でも言い伝えにある化物が出たとか、幽霊が出たとかの話には事欠かない寮と学校を繋ぐ緩やかで長い坂… それは歴史ある学校には付き物の有りそうで無さそうな舞台で心に傷を持つ人たちが繰り広げる物語… (公式チラシから引用) キャラクター紹介 + 一覧 香西冥夜 主人公。成績優秀、スポーツ万能、容姿も良く、ケンカにも強く、当然ながらモテるが、告白する女子生徒をことごとく拒絶して手ひどく振ることで有名。有力な政治家が愛人との間にもうけた子であり、彼を産んで母は間もなく死亡するなど家庭運に恵まれなかった(というより、家庭と呼べるような環境さえなかった)。本人に自覚はないが、実は超能力者であり、かつて「夢の坂」に出没した妖怪を討ち取った侍の子孫である。彼自身は無意識のうちに、頭脳と身体の精妙なコントロールを超能力によって行っており、学業からケンカまで大した努力なしで高い能力を発揮していたのは、これによる。女性を拒絶するのは、母の命を奪って自分が生まれたきたという思いと、過去に養母から受けた「性的虐待」によるトラウマからである。一見すると、冷たく見えるが困っている人間を幾度となく助けており、内に優しさを持っている。登場する女性キャラのうち何人かはこれを見ている。その上で、女子生徒の告白を冷たく拒絶する(しかし、辛そうな表情を隠しているのも見てとっている)冥夜に何らかの事情を抱えていることを感じ取り、余計に彼に関心や執着を持つようになっている(ある後輩の女子は、これをとても罪作りなことをしていると指摘している)。 彼の受けた性的虐待とは? + クリックで展開 彼は幼いころに父の愛人の一人に育てられていたが、愛人の女性と父の間で連絡が取れなくなってしまい、「捨てられた」と思い込んだ彼女は情緒不安定な状態になり酒に酔っていたこともあって、頼る者のいなかった彼女は衝動に駆られて冥夜を犯してしまった(このとき主人公は小学生)。悲惨なのは、主人公は母代りだった彼女のことを慕っており、彼女も冥夜のことを可愛がっていたということだろう。これが深刻なトラウマとなって、彼は女性を避けるようになった。 吹雪氷雨 同級生。顔立ちは整っており、美少女であるが、人を寄せ付けない雰囲気、「壁」のようなものを持っている。友人らしい友人もなく、前述の「壁」から彼女に近づく男子もいない。実は彼女もまた、主人公同様に出生に関して不幸な問題、苦しみを抱えている。そして彼女もまた超能力者である。不幸な生まれ、そして超常の能力を持ち、それ以外にも多くの共通項を持つ彼女は冥夜とお互いに魅かれ合うことになる。彼女は、自分の超能力に気付き、かつ彼女の持つ特殊な超能力を活かせる「夢の坂」で、そこに潜む「怨霊」(とそれ以外の存在)の力を利用して、自分を見捨てて虐めた社会に対して復讐をしようとする。しかし、彼女は心の奥底で自分の不幸な生まれを知った上で受け入れ、彼女が欲していた「優しさ」や「愛情」を与えてくれる人を心から待ち望んでいた。シナリオの展開次第で、彼女はその心情を冥夜に打ち明け、傷つくことを恐れて冥夜が救いに来てくれるのを待つことしかできなかった自分を、涙ながらに「私は卑怯です」と語っていた。彼女は主人公より超能力者としての覚醒が早かったこと、「地の利」を生かせる能力者であったことから、主人公より遥かに強大な力を得ており、冥夜は窮地に立たされる。単純な力で彼女を倒すことは困難であり、「ある種の気付き」を得ることが冥夜が勝利を得るカギとなる。吹雪以外のヒロインを攻略する場合は、そのヒロインから「気付く」ためのヒント、言葉、受け取るべき「もの」を受け取る(例として「吹雪先輩と戦うんじゃないんです、女の子と戦ってどうするんです?これから吹雪先輩を救いに行くんですよ!」といった言葉を受け取り、「吹雪の心を救うこと」、が勝利となることに気付く、といった感じになる)のだが、吹雪を攻略する場合は敵になった彼女から受け取ることはできず、当然のごとく非常にハードルの高いルートになる。しかし、彼女の心が救われるシーンはかなり感動的ではある。だが、救われた後でも、彼女の能力と容姿、生い立ちから、彼女の出生に関してある種の推測ができるのだが、これもまたかなり暗いものを含んでいる。彼女の顔がパッケージのイラストに直接描かれずに、彼女の「赤い目」のみ描かれているのは伏線に対する回答ないしヒントのようなモノである。彼女は「夢の時間」と言われる、広範囲に渡る(場合によっては世界的な規模にまで悪影響をもたらす)攻撃を「復讐の手段」として実行を始めるが、それは「彼女と同じ不幸な存在」を生み出すことになるのだが、それに気が付かないまでに悪霊の怨念と同調した状態となってしまっていた。彼女は、「夢の時間」に「侵される前の世界」における唯一の「未練」である冥夜を自分の仲間にしようとするが、「夢の時間」がもたらすものを理解した冥夜は氷雨の誘いを拒絶し、二人は戦うことになる。 吹雪の出生に関する不幸とは? + クリックで展開 彼女は、母が強姦されて身ごもった子であり、父親が分からない、という相当に不幸な生まれである。彼女は「父親の分からない子」という事でかなりのイジメを受け、その上、彼女の母も自殺してしまうという、悲惨な人生を歩んできた。彼女の持つ「壁」は、そんな自分を守るためのものであった。 吹雪の超能力について + クリックで展開 彼女はかなり特殊な超能力を持っている。それは、「複数の他者の力を自分に取り込み、束ねて一つの力にする」という能力である。力を借りる対象は、「生者」であるか「死者」かは問わない。つまり、死霊から力を得ることもでき(そもそも人間ではない物からも力を取り込むことができ、これが彼女最後の必勝の切り札だった)多くの怨霊が潜む「夢の坂」は彼女が超能力を振るう上で、うってつけの場所であった。 「夢の時間」とは? + クリックで展開 最初は集団で見る「共通夢」のような現象が現れる。しかし、それが日常的に「共通夢」を見るようになっていき、各自が隠していたもの、欲望や願望があらわとなっていく。「共通夢」を見続けるうちに、「夢と現実」の境界線が曖昧となり、やがて「夢の中」にあったものが現実となり、「現実ではありえないもの」を「何らかの形」で実体化させていく、特殊な超能力による攻撃手段。皆が「怖い」と思えば、その存在が「実体化」してくる。 妖怪や魔物が跳梁跋扈する状態が実は「夢の時間」であり、侍と僧が「魔物退治」を行った時の真相(しかし、「魔物」はすでに実体を得ていた)だったが、今回は「暗い欲望に囚われた傀儡」という別の「妖怪・魔物」を吹雪は実体化させていく。始末が悪いことに、吹雪と怨霊たちは、ある特殊な仕掛けが入るようにしており、「夢の坂」周辺で生じた「異常現象」が「ガン細胞が転移」するように「夢の坂」周辺だけでは済まず、ここを起点として各地に拡散する状態となっていて、ここで「夢の時間」を阻止できなければ「世界中に狂気が飛び火して、世界が狂気に飲み込まれる」状況となっていた。 広瀬恭子 同級生。クラスの女子のリーダー格で、学生寮における学生側の長。気丈でプライドが高く見えるが、彼女なりの不遇な境遇への抵抗の姿勢でもある。入学式の当日に彼女の両親が卒業と同時に離婚することが決まり、それに心を痛めて煩悩階段で泣いていて、そこで冥夜と初めて遭った。冥夜は泣いている彼女を馬鹿にするような事を言ったが、それは極度に落ち込んだ相手は慰めるより怒らせる方が回復させやすいことと、容姿の整った娘が慣れない場所で無防備で隙を見せれば、下卑た欲望の餌食になりかねないことを心配しての事だった。彼女はその心づかいを悟り以後、彼女は彼に魅かれて密かに冥夜を見守り続け、人に親切にしながら男子に対しては一定の距離を取り、女子生徒の告白は拒絶する冥夜とは「ある種の喧嘩相手」のような形で一定の近さを保ちながら付き合うことにしていた。長く冥夜を見守り続けていたことから、彼が吹雪氷雨と魅かれ合うことを「同病相哀れむ」と語り、その二人が戦う先にあるものは「共倒れ」と語っていた。彼の歪んだ家庭環境から肉親の愛を十分に得られず、そして母の命を奪ったという気持ちと、そこから来る「自分を愛せず、自分に価値を見いだせない」という心情が誤りであることを伝え、冥夜に「生きる価値があり、自分を大切にすべきこと」を伝えて、「気付き」を得た冥夜は「戦える」状態となり、結果として彼に勝利を掴ませて生還させることになる。逆に彼女のルートに進まず、あるヒロインのルートに進んだ場合はかなり痛々しい彼女の姿を見ることになる。彼女は冥夜と結ばれれば、「帰るべき家庭」は失うが、「代わりとなるもの」を得るが、結ばれなかった場合は「帰るべき家庭」を失い、「失恋の痛手」にも耐えなければならない状態となり、落差の激しい結果となる。 川崎有紀子 同級生。落ち着いた雰囲気と控えめで奥ゆかしい振る舞いながら、芯の強さ、優しさ、愛情と情熱を内に持つ娘。彼女は冥夜の下駄箱にラブレターを入れて告白のための待ち合わせをしようとしたが、冥夜はこれをいつも通りまともに読んでおらず、結果として彼女は待ち合わせの場所で時間が過ぎても待ち続け、雨に降られて濡れてしまい病気になってしまった。これが広瀬恭子の耳に入り冥夜は怒られ、罪悪感を感じた冥夜が有紀子の部屋へ見舞いに行く形で面識を持った。彼女は冥夜と並んで学年の首席を争える成績だが、エリート志向ではなく、大人達が「試験の成績」という狭い基準で学生達を上下に振り分けることに、いつか抗議し改めさせるための立場を得るためであった。しかし、その立場を得るためには、結果として多くの人を下に蹴落とす形となることにも、怒りと悲しみを感じていたようだ。吹雪氷雨の圧倒的な力の前に死を覚悟した冥夜に対して、「戦う前から諦めてどうするのです?」と叱咤し、吹雪は強くなどなく、「自分が傷つくのが怖くて誰とも付き合わなかった弱い人」と語り、冥夜が氷雨の表面的な力に囚われ、彼女の心が実際には弱く、自分を貫くだけの強さがないことを見逃していることを指摘し、「あの人(仙道刀夜)はあなたが死にに行くのだと言いましたか?あのマスターは、あなたをいつも父親のような優しい目で見ている。あの人はあなたを死なせたりしない。」「戦う必要がそもそもないからです。」と続け、刀夜が冥夜に語った言葉の真の意味、「戦わずして、説得して吹雪を救え」と言わんとしていたことに冥夜を気づかせた。また、心の弱い吹雪が、既に自分の意志ではなく悪霊の「怨念」に囚われて動いていることも見抜いていたらしく、生者の世界で十分に生きることができず、ゆえに怨霊の「生者の世界への復讐」に同調してしまった吹雪を説き伏せるには、その言葉に「死者の怨念に勝る、生者の世界にしかない『生』を全うすることの素晴らしさ」がこもっていなければならず、少なくとも生きることに未練を感じられなければ、その言葉を紡げないことを冥夜に語り、彼女は冥夜に「生きたいと思う未練」を与えた。彼女のアドバイスは的を射た有益なものであったが、冥夜と彼女を待っていたのは予想もしなかった展開だった。 高橋美紀 主人公の担任の女教師。長身でグラマー、美人であり、男子生徒から人気がある。生徒の面倒見も良いため、女子生徒からの評判も良い。また、主人公の居住する学生寮の舎監でもある。新卒で教師になったため、主人公達とは年齢が近く、侮られないように男性のような口調で話しているが、実際はごく普通の女性の口調である。学校自体が、戦前から権力者、資産家などの有力者の婚外子を預かり、結果として各界の有力者とのつながりを持っていたがゆえの名門校、という特殊な学校で、問題児ではないが、不幸な家庭環境を隠して明るく振舞っている生徒が存在することに心を痛めたりしている。また、親が有力者であり、金銭的に恵まれているがゆえに傍若無人な振る舞いをする生徒がいたりと、色々と苦労している。 彼女は内心で、人目を引く美少年で、女子生徒から注目されている冥夜に女として魅かれているが、彼に対して教師としての責任も果たそうと努力はしている。しかし、不幸な家庭環境と出自を持つ彼に女として同情してしまい、「教師としての一線を越えた肩入れ」をしていた事を刀夜に指摘される事もあった。このように愛情深い一面があり、故に「間違い」を犯してしまう面もあり、かつて自分に優しく接して、よく面倒を見てくれていたが、最終的に間違いを犯した養母の影を、冥夜は彼女に見ていたことが、彼女のルートで分かる。 小澤麻里絵 主人公の後輩。二年生。心優しい、他人のことを思いやれる娘。控えめで、ある種の臆病さもある「小動物」系の少女。但し、正義感の強い部分もあり、曲がったことを言った相手に怒ると、それが強い相手でも後に引かないような部分がある。物語の冒頭で、主人公にラブレターを渡そうとしたが、受け取ることさえ拒否されるという酷い振られ方をした。しかし、後日に学校の帰りに、雨に降られてしまい学校と学生寮の途中にある喫茶店「もらとりあむ」に雨宿りに入り、冥夜と再会する。店主の「仙道刀夜」の計らいで(かなり強引であったが)、冥夜との距離を縮めることになる。そこで友人の中原奈緒子との間で、「煩悩階段」に現れるという「人魂」、「鬼火」を見に行こうという話が出てきており、冥夜もこれに参加することになる。この「煩悩階段で人魂を見に行くイベント」により、物語は大きく進むことになる。ある意味で、この物語の切っ掛けを作った人である。この煩悩階段で人魂と遭遇したことにより、冥夜は「魔物」側から目をつけられることになる。吹雪が正体を現し、皆を守るために吹雪と対決することを決め、勝ち目の少ない戦いに挑む冥夜に「生きることの大切さ」を彼女なりの言葉で諭す。彼女は、交通事故で目の前で弟を失っており、そのことを未だに悔いて悲しんでおり、冥夜は自分が死んでしまえば、彼女をさらに悲しませることになることを悟った。麻里絵はさらに、自分たちの日常がつまらなく思えても、幼くして死んでしまった弟には経験したくてもできなかった経験であり、貴重な経験であり、生きることは尊いことであり、今死んでしまえばこれからできるであろう経験をできなくなることを話し、愛し愛されることを知る前に死んではいけないことを伝えた。彼女のエンディングは「学園ものの王道」的なエンディングとなる。 中原奈緒子 主人公の後輩。二年生。小澤麻里絵の親友で同じくバスケ部に所属している。直情的で強気な性格。しかし、脆い部分もある。小澤麻里絵の告白に付添として立ち会ったが、麻里絵の真剣な告白を冷たく拒絶した冥夜に腹を立てて、食ってかかるが結局はラブレターさえ、受け取ってもらえなかった。後日、麻里絵とともに雨宿りに入った「もらとりあむ」で冥夜と再会する。麻里絵のために自分たちの所で話をしないか?と誘うも断られるが、仙道刀夜の計らい(かなり無茶なやり方だが)で、三人は距離を縮めることになる。冥夜は、奈緒子が情に厚い性格であることを認めた上で彼女に次のような話をした。性格が優しく善良だが、気弱な麻里絵のため、情の深さ故に良かれと思ってすることが逆に彼女にとって良くない結果になるかもしれないのだと。そして気の強い子が気の弱い子を守ろうとして、逆に気の弱い子の自力で行動するという成長の芽を摘み取るかもしれない事を指摘して、彼女はそれに軽く驚いている。彼女のルートに進むと吹雪がその正体を現し、吹雪の行動を阻止するために戦うことを決めた主人公に対して、「自分が無理に話しかけなければ人魂と遭遇して魔物に侍の子孫と気付かれずに済んだのでは?」と涙ながらに話し、責任を感じていたことが分かる。冥夜との会話で、彼が「母を殺して生まれてきた」という思いを持ち続け、父も正妻の目を恐れて、彼に愛情を伝えておらず、幼いうちは、あまりにも愛情に縁がなく「自分は愛されない」、「生まれてきてごめんなさい、状態さ」と語り十分に愛情を得られなかった苦しみから、「愛情」を遠ざけ、考えないようにし、その延長として今も愛情の絡んだ関係を拒否していたことを理解した。加えて彼の話から幼いうちに養母から強姦の被害に遭い、そして女性と関係を持つことを拒絶していたことも悟った。冥夜に魅かれていた彼女は、麻里絵を傷つけることになることを気にしつつも、彼のために「沢山、沢山愛情をあげる。先輩にはそれが沢山、沢山、必要だから」と答えた。自分の過去を知り、それでも受け入れ、涙を流して心配してくれる奈緒子の存在によって、心の一部が機能停止していた状態から回復した冥夜は闘える力を得て、無事に生還することになる。 五代美也 主人公の後輩。一年生。攻略可能なヒロインの中では最年少。おっちょこちょいだが、成績は優秀。実は彼女がドジなのもあくまでも「フリ」らしく、「おっちょこちょい」というのも仙道刀夜が「道化」を演じている理由と通じるものがあるらしい(人とかけ離れたものがあることを隠ぺいする、愛されるように演じる等)。吹雪の本心を聞き出すためにカマをかけるが、逆にこのことを指摘されて沈黙してしまった。ドジで何も考えていないように見えるが、仙道刀夜が「美形の道化師」にしか見えなかった面子に比べて、「きれいなバラには棘がある」など、怖い部分に気付いおり、刀夜も少し彼女を苦手にしていたようだ。吹雪との戦いの前に彼女があまりにも「やらかし過ぎる」ため、説教のために彼女の部屋に寄ると「説教するつもりが彼女に説教される」といった展開になる。彼女は吹雪が冥夜に好意を抱いていることを見抜いており、吹雪は戦うべき相手ではなく救うべき相手であることを伝え、冥夜は「気づき」を得る。 彼女のエンディングでは、いつも通り「やらかして」、他の生徒に袋叩きにされかかっているところを逃げてきて、冥夜に助けを求め、彼に免じて許してもらったのだが、たいして時間がたたないうちに別の生徒の一団に追われて、「先輩助けて!」とまた助けを求めてくるなどギャグ色の強いものになっている。 仙道刀夜 冥夜行きつけの喫茶店「もらとりあむ」のマスター。知的な面も見せれば、道化のような振る舞いも見せる不思議な人物。モデルのようなルックスだが、普段はおどけたような振る舞いをしていることが多い。奇矯で愉快な言動が多く、そのため軽く見られて、中原奈緒子からは「変態マスター」、彼の店にいるウェイトレス達からは「オカマ顔」などと散々な言われ様である(しかし、彼も「小澤さんは可憐な少女」と言い、奈緒子が「私は?」と聞いたら、「君は少女モドキ」と言い返すなど色々とやり返しているが)。しかし、一部の女性達はこれが、本当の姿でないことを見抜いていた。高橋美紀は「本当は愉快な人じゃない」、川崎有紀子と吹雪氷雨は「恐ろしい人」、五代美也は「きれいなバラには棘がある」と評していた。 彼は、「夢の坂」の伝承に興味を持ち、三人のウェイトレスを通じて「夢の坂」の伝承について調べていたが、「夢の坂」で起きている「怪現象」が真実であることを確信しており、更に「怪現象」の原因が、単なる怨霊や妖怪に起因するものではなくもっと「恐ろしいもの」によって起きていることを見抜いていた。 実は若くして両親と死別し、ショックで心の一部が壊れていたらしい。頭脳明晰だが「他人への共感」が著しく欠落したサイコパス的な面を持っていたらしいのだが、それを自力で矯正していたらしい。心の一部が、ショックやトラウマにより機能停止していることを経験しているだけに、冥夜も近い状態(症状が違うが)を見抜いていた。そのため、彼は冥夜に対しては「気付くこと」を促し、時に厳しく、しかし見捨てない、といった態度で接することがあり、川崎有紀子はこれに気づいており、「いつも父親のような優しい目で見ている」と語っている。時と場合によってはかなり「怖い面」を見せることがある。 話が進むうちに、彼がどれだけ「怪現象の原因を把握している」のか見極めながら物語を読んでいく、というのも楽しみ方の一つかもしれない。注意深く読んでいくと「黒幕」に対する「対処の仕方」を途中で変えていることに気付くだろう。彼は実は冥夜や氷雨と同じく超能力者であり、「敵」が「夢」を利用して攻撃していることに気が付き、その行き着く先も理解したが、既に手遅れの状態となっていた。 福間 同級生。主人公と同じく学生寮の住人。漫研部の部長。夜な夜な主人公の部屋を訪れては「美少女アニメ」のLD(1998年当時だとDVDではないだろう)を持ち寄って、他の部員を引き連れ「鑑賞会」を開催する迷惑な男・・・なのだが、それは表向きの顔で、実際には色々と彼も訳ありな生徒である。実は、彼もとある有力者が愛人に産ませた子である。さらに正妻の息子(彼にとっての義兄)が、高校で女子生徒を妊娠、中絶させた経緯があり、父親同様にそうした事に罪悪感を持たずにいることに嫌悪感を感じ、現実の異性関係から距離を取り、二次元の世界へ逃避させることになっていた。主人公に対してなれなれしい態度を取っていたのは、同じような出自でありながら超然とした態度で社会を生きていること、飛び抜けた能力の持ち主であることへの憧憬に似た感情、母が死にかけていることへの不安感、絶望感からのある種の逃避であり、このような事情があったことを察してやれなかったことを主人公は悔いていた。 兵藤耕助 同級生。主人公とは親しい間柄。主人公と並んで絶対に「手を出してはいけない三人」の一人。しかし、性格は温厚温和で(ゆえに主人公いわく「最強ゴリラ」)、人を差別せずに公平に見ることができ、福間を評して「趣味はおかしいがいい奴」と見極めることができていた。学校の成績は良くないが、人望がありクラスの男子のまとめ役となっている。しかし、彼は「夢の時間」により「傀儡の一人」となってしまう。 数少ない親友と呼べる人物と主人公は戦わざるを得なくなる…。 「もらとりあむ」のウェイトレス達(イリス・レディーナ・ユリアン) 仙道刀夜と行動を共にする、喫茶店「もらとりあむ」のウェイトレス達。非常識を絵に描いたような人達だが、真面目になると非常に意味のあることを話す。実は刀夜同様に超能力者であり、彼らの存在と冥夜の存在により「夢の時間」に「夢の坂」一帯が完全に飲み込まれずに済んでいた。実は「夢の坂」が怪異を引き起こす「真の原因」となった「存在」を地下に封じた「少女」の呼びかけを受け、「夢の坂」の怪異を鎮めるために助力を要請されていたらしい。ちなみに、仙道刀夜とウェイトレスの三人は「モラトリアム」からの出演である。 侍 過去の「夢の坂」の伝説に登場する人物。師を殺した修行仲間の僧を追って夢の坂を訪れた(といっても僧が故意に殺したわけではなく、修行時の事故死のようなものだった)。侍が坂に来た当時から、「夢の坂」と坂は呼ばれていたことが分かる。彼が言うには「世の中は半熟の卵のようなもので、完全に固まりきっていない」のだという。侍は「夢の坂」で当時猛威を振るっていた「妖怪」を倒すことに成功するが、「妖怪」を発生させた原因は無くなっておらず、それは人の手では如何ともできないものなのだと言う。彼は再び妖怪が現れることを予言し、「口伝」という「言霊」の呪力により、自分の死後に「妖怪」が再び現れた際に、自分の子孫がこれと対抗するようにあらかじめ手を打っていた。妖怪を生み出す「夢の坂」に存在するもの、「この世は固まりきっておらず、人の想いにより変化しうる」と言い伝えた彼の言葉は、重要なキーワードとなっている。 僧 かつて、侍と共に修行をしていた仲間であった僧。力は相当にあったようだが、精神を安定させて術を発動させることに問題があり、結果として術の暴走で、彼と侍の共通の師は事故死している。彼は「夢の坂」に出没し、人々を殺傷していた「妖怪」を倒すために侍をこの地に招いた。伝説では、二人は「妖怪」に勝利したにもかかわらず、「夢の坂」と彼の建てた寺へ続く「煩悩階段」は人魂が彷徨い、かつこの僧が建てた寺院は廃寺となるなど「妖怪に二人が勝った」という言い伝えとは、逆のような結末になっており、重要な伏線となっている。侍は再び魔物が出る事を予言し、僧もそれに同意し、その時のために侍に「夢の坂」に残る様に勧めるが、「ここに居れば死ぬことになる」という意味のことを伝え、去っていった。侍の予言通り、僧は妻帯を禁止した宗派でもないにもかかわらず、断絶し、寺は廃寺となってしまった。彼は戦った「妖怪」について「人の心の弱さが生み出したもの」「まがりなりにも命を持っていた」と語り、この言葉と、僧と寺の辿った運命もまた、ある種の伏線となっている。 妖怪 過去の「夢の坂」の伝説に出てくる妖怪。人を引き裂いて殺していたという。伝説では侍が僧を訪ね、その帰り道で初めて侍はこの化物と遭遇した。化物と遭遇する直前に「何か風のようなもの」が侍に触れ、その少し後に道を女が歩いて近づいてきた。その女は「浅葱」といい、侍の知り合いだった。しかし、「浅葱」は伝聞ではとうの昔に「死んだ」はずであった。侍は伝聞で聞く「夢の坂」の「化物」と悟り、刀で切り付けた。しかし、化物に手傷を負わせることはできなかった。侍は刀の二撃目を放ち、次は見事に手傷を負わせることに成功した。化物は退き、侍はこの戦いを見ていた、使用人の娘にこう話している。「大方の化物は人があれこれ思い煩うた結果生まれたもの」であり、侍はゆえに「斬ることができる」と念じ妖怪を切ったのだ、と。「夢の坂」に現れた「妖怪」は人の心の奥にある「怖れ」「恐怖」が実体を持ったものであり、「人の心の悪夢」が現実となったものであった。そして、「夢の坂」でもっとも恐ろしい物は「妖怪」ではなく、「悪夢」を実体を持ったものに変える力を「夢の坂」に「与えたもの」であり、侍はその存在を感じ取っていた。そして「悪夢」は「恐怖」のみではなく、「別の種類の悪夢」と主人公は戦うことになる。 主人公の戦う「実体化した悪夢」とは? + クリックで展開 主人公が戦う「実体化した悪夢」は、人の心の奥に潜む「欲望」と「それを描いていた本人達が実践できる」世界が実体化したものであった。 ある者は破壊を、ある者は殺人を、ある者は強姦を、といった具合に欲望のリミッターを外せたらと心の奥底で願い、自分が成りたい、したいと願っていた通りの「自分」に各々がなっている世界だった。 御堂 主人公の通う学校の理事長。若く妖艶な美女とされる。かなりの資産家であり、「夢の坂」の周辺に広大な土地を持つとされる。彼女が理事を務める学校は「名門校」とされる。この学校は明治時代からあり(当時は女学校)、有力者の婚外子(主人公のような)を代々預かり、有力者との強いパイプを持ち続けたが故の「名門校」だった。実は、「夢の坂」の「真の伝説」において、「御堂」の名が出てきているのだが、現在伝わる「夢の坂」の伝説に彼女の先祖の名前は出てきていない。「伝説」の中で、「御堂」は「報酬によって、呪殺を行う呪術者の集団」とされており、その過去を消すために、「伝説」を「時間をかけて歪めていったため」にそのようになったのだろうと登場人物の一人は推測している。現在は、かつて「呪術師の一族」であったことなど微塵も感じさせないが、それは表面だけのことであり、今なお陰では「現役の呪術師」である。実は「夢の坂」と「学校」の周辺は「一種の呪術システム」となっており、「夢の坂」で起きる怪現象の原因の一つが「御堂」とその一族の存在によるものである。主人公は、「理事長の隠し部屋にあった物」を物語前半の終盤に発見し、「夢の坂」と「学校」の間にある隠された事実、「夢の坂の怪現象」と「夢の坂の伝説」の間にある真実の歴史を知ることになる。 理事長の隠し部屋にあったものとは? + クリックで展開 理事長の部屋が、地下道に続きその先に地下室があり、そこに「祭壇」が存在することを主人公は発見する。その祭壇は、戦国時代に「夢の坂」一帯に逃げてきたが追い詰められ、一族もろとも皆殺しにされた人々の人骨と、彼らを追い詰めて殺したが、裏切りにあい、やはり皆殺しにされた追手の人骨からなる「魔法陣」だった。「魔法陣」は深く穴を掘られたところに人骨を稠密に組み込んで作られ、その上に土を被せてさらに人骨の魔法陣を作る。これを何層にも重ねて、最後にその頂点に「真言立川流」の「髑髏本尊」を設置することで作られ、これと同じものがいくつも設置されていた。 この「呪術的施設」の力により、「夢の坂」で惨殺された「怨霊」の「呪い」の制御を行い、エネルギーとして自分達の利益や繁栄、敵対者の呪殺に用いるという形で利用していた。そして「学校」の正体は、労せずして「髑髏本尊」を作るのに必要な高貴な血筋・美しい容姿・優れた知力の全てを備えた若い女性を生徒として集めることができるためだったらしい事が作中で語られている。 ちなみに髑髏本尊は、読経を行いつつ相当の数の性交を行い、避妊をしない状態で女性の愛液、経血、男性の精液を糊として用いて頭蓋骨(作中では御堂の先祖の頭蓋骨を使っていた)に塗布して金箔、銀箔を貼り付けて作っていくとされる。経血(女性の生理の血)も利用するため、女性が妊娠してしまうと儀式は行えず、「髑髏本尊」を完成させるためには、妊娠に備えて複数の女性が必要となり、しかも儀式に参加させる女性は高貴な血筋・美しい容姿・優れた女性であることが要求され、儀式自体の継続が非常に困難である。御堂はこの問題を「学校」(戦前は露骨に女学校だった)を作ることによって解決していたらしい。 しかし、この「祭壇」と「御堂一族」の存在が「夢の坂」における怪現象の原因の一つでこそあれ、真に恐るべき物は別に存在していた。 地下にある存在 + クリックで展開 侍が真に恐れた存在。御堂、妖怪、怨霊、そして吹雪も、これと比べればまったくの子供だましとしか言えないほどの圧倒的な力を持つ存在。 伝奇ものとして 「伝奇もの」として、ベースになっている作品が一般的な伝奇エロゲーとは大きく異なる。その意味で、シナリオなどについて大半の「伝奇ノベルゲーム」が平井和正ー菊池秀行の路線で進み、「食傷気味で飽きられた」状態になっている面があるような現状を打破する上で参考になる作品なのではないだろうか?シナリオの評価については多くのプレイヤーによる複数の視点による評価を要する作品である。 特にエロゲーのネタとして、非常に適したものと思われながら、ほとんど使われていない「真言立川流」などを1998年という非常に早い時期に使っているなど、伝奇要素とエロゲー要素を上手く絡めている点は特筆すべきことのように思う(*2)。 登場人物同士の会話 登場人物同士の会話の内容には胸に刺さるような真摯な悲しみ、苦しみを纏ったものが多い。 シナリオの設定・展開の他、こういった部分が非常に魅力的な要素となっている。 問題点 起動方法が厄介 何も知らずにディスクを入れると「インストールは出来るが起動不可能なゲーム(*3)」に見えてしまう。 下記の通り手順を踏むことで起動出来るが、気がつかず泣き寝入りした者も多く、2013年に調査が行われるまでは「起動不可能」という評価が大勢を占めた。 2000年代に著名だったレビューサイト「きむち屋総本店」のオールドレビュー(1990年代発売作品のレビューコーナー)に於いて、100点満点の評価形式にもかかわらず起動出来ないとして唯一の論外評価だった(*4)。 さらにゲームカタログ@Wikiの前身である『クソゲーまとめ@ウィキ』には2013年4月、このゲームの購入者により「ポイント:未完成商法もびっくりの起動すらしないゲーム」として記事が作成された。これにより起動不可能のゲームとして流布され、同年に再検証・再評価がされるきっかけになった。 設定ファイルの書き換え必須 ただインストールしただけでは、起動してもOPの段階でエラー落ち。「設定.dat」のファイルパスを書き換えて、初めて動く様になる(*5)。 このdatファイル、パスに改行を含むと認識してくれない。しかし、初期状態だとしっかり改行が入っている。なんでやねん。 手順を踏まないと起動出来ないことはreadme.txtに小さく書かれており、見落としてしまうと何もできない状態に陥る。詳細はこちら、もしくはこちらを参照。 ちなみに、物理的な説明書の方では「特に難しい操作は有りませんので、説明を読まなくても出来ると思います」と書いてある。嘘をつくな嘘を。 まぁ、その下に「この説明に間に合わなかったことは全て「読んでネ.doc」に記載してありますので必ず読んでください」とはあるのだが。 起動に漕ぎ着けても、ビッグ・プロローグの間はあくまでテキストを読むだけであり、画像が出るのは本編に入ってから(*6)。 環境によっては、強制終了など様々なバグの発生が報告されている。 評価点 シナリオの出来は良い。 本作が起動できないゲームとしてまことしやかに語られていた時期でも、僅かながら起動出来た人からは好意的な評価がされていた。 シナリオの出来が良いだけでなく、話の内容も今日に至るまで、他に類例・類似した作品がない独特のものになっている。 登場人物、舞台に関する設定もかなり独特。 一度読んだだけでは「気が付かない伏線の回収」「ダークなもの、黒いものが残ったまま物語が終わったこと」などについてもある程度示しておきたいとは思う。正直、これもシナリオの魅力であるのだから。 絵も、それ自体はクオリティが高い。 少々クセが強いため、好みが分かれるところではあろうが。 細かく読んでいくと、現在では入れられないCGが入っていた可能性があることに気づく人もいるだろう。 エンディングについても少し特殊なものがあり、「ダーク」ではないが「完全なハッピーエンド」はない、主人公もすべての登場人物の命を救えても心までは救済しきれないことが分かる(最終ルートで明示される)。ただし、あるヒロインとのエンディングでは、かなり「全体が丸く収まる」感じにはなる(主人公は特殊能力を失い、苦しく悲しくても、かけがえのない「想い」を皆が忘れることになるのだが)。 総評 洪水の被害によりデータを紛失してしまったのは気の毒だが、予告もなく未完成スレスレの品をフルプライスで販売するのは詐欺と言われても致し方ない。 資金繰り等の問題があったであろう事は想像がつくが、ユーザーにしてみればそれとこれとは別問題である。 2015年12月に状況は一変する。 「起動できない」と思い込まれ「クソゲー」として扱われたが、実際は起動でき、かつ「入手困難」な状況から「誰でも無料で入手できる」状態となり、シナリオの奥深さなどが再評価されることになった。 移植 2015年9月になって熱狂的なファンが現れ、権利者探しに奔走。ついには権利者に許諾を得たリメイク版を作成した。 「エロゲと饗」というサイトで無料配布された。(リンク先は18禁) シナリオは、ほぼ「夢の坂」と同じ、ビックプロローグ編ではテキストしか表示されなかったオリジナルの「夢の坂」と比べて、絵も音楽も表示・演奏され、オリジナルの「夢の坂」が動作させるのが厳しくなるWindows7以降のOSにも対応していること、現物を手に入れることが難しいオリジナルの「夢の坂」をプレイするよりも環境的には遥かに扱いやすく、便利なため未プレイ者はリメイク版をプレイすることを勧める(セーブできる個数も多い)。 ニコニコ動画では、PR用の動画としてエンディング部分が投稿されている。 2021年12月、リメイク版のダウンロード数が7,000回を超えたことを記念してお蔵入りになったエピソードを追加したスマホ版の移植が発表された。 余談 事の顛末はCD内にあるreadme.txtにて知ることが出来る。 要約すると、「静岡県内で発生した洪水被害によりマスターアップ直前のデータが入っていたHDが破損、修復を試みたものの全体の8割程度しかサルベージ出来なかった。会社の資金繰りの関係でこれ以上の遅延は出来ないと判断、そのまま販売します」とのこと。 それにしても、書き換え必須な仕様はどうにかならなかったのだろうか。 この洪水被害は平成10年台風第4号によるものである。静岡県では死傷者を出しwikipediaに独立記事が存在するほどの大雨だった。 パッチに関しては配布はおろか作っていた形跡もない。 readme.txtには「この物語の完全版を皆様にご提供させて戴けたらと考えております」と書かれていた。 Wikipediaではゲーム内容に踏み込んだ詳しい情報が閲覧できる。 本作の検証を行った赤野工作は本作が長らく日の目を浴びなかった原因は夢の坂発売の同月にわくわく☆惑星プリンセス、同年7月に夏色デスティニー(*7)という歴史的な問題を抱えたアダルトゲームが発売されていた事もあり、クソゲーとしても埋もれてしまったからと分析している。 元々acuteは『Gloria』から独立したブランドである。 第1作目はGloriaより発売された『モラトリアム』の内容追加版である『モラトリアム プラス!』(*8)で1995年8月発売。1997年に唯一の全年齢ソフト『愛があれば大丈夫』を発売している。 本作発売から約4か月後の1999年2月にアダルトゲーム3作目の『しつれん』が発売されており、それを最後に新作は出ていない。 4作目として『Costume DE PoN J』を1999年6月に発売する予定があったが、2000年へ延期となり、更に2001年1月に延期しそのまま消えていった。他にも『千の夜と一つの夜の物語』『Tell me the color』の2本を発売する予定もあったが、世に出る事は無かった。 COSTUME DE PoN Jに関しては2000年9月の段階でシナリオが5%、CGが1%程度の進行に加えてメインシステムの構築に難を抱えるという絶望的な進捗であり、CGサンプルの1枚も発表がないまま消滅した。 解散して15年以上公式サイトが残っていた。当時のアーカイブ 本作の開発途中だったと思われる状態で残っていたが、工事中という表示の通り何も出来ていない寂しい状態。サイトも満足に作成出来ないほどの窮状だったということだろうか……? 同サイトで閲覧できるチラシに、あらすじが書かれていたが…日本語がなんとも錯綜しており、今一つ内容が伝わってこない。2017年末に消滅。 チラシに書かれている発売日は1998年6月26日、実際の発売日は1998年9月25日のため延期した事が窺える。 本作及びacuteのアダルトゲーム全3作品の原画担当者は、同人サークルを立ち上げており現在も活動中。 2002年に公式ホームページの掲示板でacuteの話題が振られた事があったが、その際に『そこの新作が出ません。どうしたんでしょうかね。僕には関係無いから、どうでもいいけど。』『ああ、また過去話だわ。どうしてバレるのかしら。そんなに絵が変化してないのかしら。しくしく』と語っている。 バグのせいで手順を踏まないと遊べないゲームとして、Amiga CD32の『Kang Fu』という類例が存在する。 こちらは決まったタイミングでCDを本体に入れないとメモリ不足とみなされ、タイトル画面より先に進めなくなるというものであった。 この起動方法は説明書に記載されている。 動画による解説 + ニコニコ動画